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一人親支援プロジェクトで論争、弱者を救うのは“意識高い系”なのか?

2015/10/27(火) 7:00配信

THE PAGE

 一人親家庭を支援するNPO法人などが立ち上げた児童扶養手当拡充を求めるキャンペーンをめぐって、主宰者の一人である社会起業家と、ブロガーとしても有名な人材コンサルタントが、ネット上で論争しています。厳しい状況にある人を救おうというプロジェクトの表現はどうあるべきなのでしょうか。

 手当拡充を求めるキャンペーンについて異論を挟んだのは、リクルート出身の人材コンサルタントで、千葉商科大学国際教養学部専任講師も勤める常見陽平氏です。キャンペーンのサイトでは菅官房長官宛に「子どもを5000円で育てられますか?貧困で苦しむひとり親の低すぎる給付を増額してください!」とのタイトルが付いています。自身も母子家庭で育ったという常見氏は、この表現について、一人親=貧しい、という印象操作になってしまう可能性があるとして疑問を呈しました。

 これに対して、キャンペーン主宰者の一人である社会起業家の駒崎弘樹氏は、一人親家庭の過半数が貧困に陥っているのは事実であり、それを広く社会に知ってもらい、現実の支援につなげることが重要だとのスタンスです。

 双方の意見はあまり噛み合わず、最後は少々ヒートアップする形となってしまいました。常見氏は「こうした支援をする人は、本心では弱者を見下しているのではないか」「意識高い系のアピールがあるのではないか」と発言し、駒崎氏はこれに対して「若者を揶揄している時間があったら、具体的なアクションをしては?」「たとえ偽善者と呼ばれても、実際に困っている人がいるのであれば事態の改善を最優先したい」と返しています。

 もっとも常見氏は母子家庭とはいえ、常見氏の母親は大学教授を務めるインテリで、自らは特に弱者というわけではなく、自身の体験を一般化するつもりはないと述べています。また当の母親からも、発言を自制するようにとの連絡があったそうです。ただ常見氏は、一般的には強者と思われている人でも、こうしたデリケートな問題では傷つく人もおり、表現に対する配慮は重要との考えです。

 常見氏が当事者の一人であることは事実ですから、キャンペーンを主宰する以上、主宰者側は、どのような内容であれ、当事者の意見にはそれなりに耳を傾ける必要があるでしょう。一方、経済的に余裕のない一人親世帯(特にシングルマザー世帯)の窮状は限界まで来ています。

 非正規労働に従事する人の割合は女性の方が圧倒的に高く、その結果、女性の平均的な月収は男性を大幅に下回る状況です。日本の一人親世帯の環境は国際的に見てもかなり劣悪なのですが、この現実はあまり知られていません。多少、目を引く表現にしなければ、多くの人に知ってもらえないというのもまた事実といってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/29(火) 4:47
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