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習近平国家主席の訪英に総力あげてのおもてなし 英国の狙いはどこに?

2015/10/30(金) 7:00配信

THE PAGE

 中国の習近平国家主席が英国を訪問しましたが、英国の総力をあげてのもてなしぶりが大きな話題となりました。中国にこれほどまでに肩入れする英国の狙いはどこにあるのでしょうか。

中国に厳しかった姿勢が親中路線に

 これまで英国は、フランスやドイツなど他の欧州各国と比べて中国に対しては厳しい姿勢で臨んできました。英国王室のチャールズ皇太子は、中国が人権問題で神経を尖らせるチベット独立運動の指導者であるダライ・ラマ14世との交友関係が深く、かつて中国の指導者を「まるで蝋人形のようだ」と批判したこともあります。キャメロン首相もたびたび人権問題を取り上げていました。

 中国は英国に対抗して、フランスやドイツを徹底的に優遇する姿勢を明確にしてきました。ドイツのメルケル首相は何度も中国を訪問していますし、フランスのオランド大統領の訪中に際しては、中国はかなり手厚いもてなしを行い、英国との違いを強調しました。

 英国内では対中政策について、かなりの激論となっていましたが、最終的にキャメロン政権が選択したのは親中路線でした。中国が設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、先進国として真っ先に参加を表明、オズボーン財務相は、ビジネス面における協業の地ならしを続けてきました。今回の訪英では、エリザベス女王が自ら、習氏と共に馬車に乗ってバッキンガム宮殿に入り、夜は公式晩餐会に招待しています。世界的に注目を浴びているキャサリン妃は、共産党のシンボルカラーである真っ赤なドレスで習氏を出迎えました。

 翌日、キャメロン首相と習氏は首脳会談を行い、次々と大型の商談をまとめています。特に注目を集めたのは、中国が資金を全面的に提供するとともに、中国製原発を採用するという大型の原子力プロジェクトですが、両国がもっとも重視しているのは、おそらく人民元のシティにおける取り扱いだと思われます。

人民元のロンドン市場を通じた国際化

 ロンドン市場は、今でも世界の為替取引の中心地となっており、ニューヨーク市場の約3倍、東京市場の7倍もの規模があります。世界の通貨はほとんどロンドンで取引されているといっても過言ではありません。

 詳細は明らかではありませんが、首脳会談では、この件に関して突っ込んだやり取りが行われたといわれています。会談後の記者会見で習氏は「両国は黄金時代を迎えた」と発言しましたが、その真意は人民元のロンドン市場を通じた国際化にあると見てよいでしょう。同じタイミングで中国政府は、本土と香港以外では初めてとなる人民元建ての国債をロンドンで発行する方針を表明しています。

 記者会見では、ジャーナリストから中国の人権問題に対する厳しい質問も飛び交い、英国としての意地を見せましたが、この国は大英帝国の時代から狡猾な外交で有名です。一方では批判を行いつつ、中国とのパートナーシップは着々と強化されていく可能性が高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/31(木) 4:05
THE PAGE