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マ軍の監督交代がイチローに与える影響は?

2015/11/4(水) 12:00配信

THE PAGE

 ドン・マッティングリーがまだヤンキースの打撃コーチだった頃のこと。

 シアトルでの出来事だが、午後4時半過ぎーー、ホームのマリナーズが打撃練習を始めると、マッティングリーが、Tシャツにショーツ、そしてサンダルというラフな格好でビジターのダグアウトに姿を見せた。知らない人ではない。松井秀喜の打撃について何度か話を聞いたことがある。打撃練習を熱心に見つめている横から、〈どうしてわざわざ〉と声を掛けると、こんな答えが返って来た。

「イチローの打撃練習を見ておこうと思って」

 視線の先には、1組目で打撃練習を行っているイチローの姿。その理由を聞いたはずだが、反応は記憶にない。偵察ではなかったはずだが、こう言ったのをはっきりと覚えている。

「この間、イチローが三塁ファールフライを打っただろ?」

 どの打席のことを言っているのか分からず戸惑っていると、マッティングリーは続けた。

「いい感じで、ボールを捉えていた」

 2日、マッティングリーがマーリンズの新監督に就任した。10月終わりの時点ですでに合意していたようだが、ワールドシリーズが終わるのを待っての発表となった。マッティングリーといえば、過去5年はドジャースの監督を務め、この3年はすべてチームを地区優勝に導いたものの、一度もワールドシリーズ進出を果たすことはできなかった。プレイオフ終了後、双方合意の上で、マッティングリーはドジャースの監督を辞任する。唐突に映ったが、ここ数年、オフになると去就が取り沙汰されており、想定内か。

 ファンはおおむね好意的に捉えている。彼らは例えば、マッティングリーの打順の組み方に異を唱え、打率が2割台前半をさまよい、出塁率が3割に届かないジミー・ロリンズを1番で起用するたびに、不満を漏らした。目まぐるしい投手交代しかり。
 
 ただそうした一方、事情を知るメディアは、複雑な思いでマッティングリーの退団を見つめていた。彼らは知っていたのだ。彼が好き好んでロリンズをリードオフマンとして起用していたわけではないことを。そうした指示が、編成部門の取締役を務めるアンドリュー・フリードマンとファラハーン・ザイディGMから降りてきていることも。

 結局、双方合意の裏には、フロントの押し付けとそれに抗う監督という確執があり、マッティングリーにしてみれば、フロントの口出しに辟易し、退団を決めたということになる。現場が介入を受け、それが退団の引き金になるのは、日本だけの話ではない。

 もっとも、彼がマーリンズへ移ったからといって、意のままに采配を振るえるのかは不透明。むしろ変わらないのではないか。

 オーナーのジェフリー・ローリア、デビッド・サムソン社長が、現場へ土足で踏み込んでくるのは日常茶飯事。今年7月にはそのままシーズン最後までプレイすれば、年俸の調停権を得る予定だったマーセル・オズナを突然マイナーに落とし、それを阻んだが、左手を骨折したジャンカルロ・スタントンの長期離脱が判明した直後のこと。一気にレギュラーの外野手を2人も失い、ダン・ジェニングス監督はデレク・デイトリッチを外野手にコンバートするなどして凌いだが、現場の意向など、まるで無視だった。

 先週、そのダン・ジェニングス監督も退団を決めた。GM復帰を要請されていたが、態度を保留。彼もまた、フロントのやり方にはうんざりしていたのかもしれない。

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最終更新:2016/2/11(木) 4:38
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