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日銀が量的緩和策の維持を決定、「追加緩和なし」の背景は?

2015/11/4(水) 7:00配信

THE PAGE

 日銀は先月30日の金融政策決定会合において量的緩和策の維持を決定し、市場の一部から期待されていた追加緩和は実施しませんでした。これにはどのような背景があるのでしょうか。

物価上昇が続いているから?

 日銀は2013年4月から「2年で2%」という物価目標を掲げ、大規模な量的緩和を続けてきました。当初、物価は順調に上昇し、2014年5月にはプラス1.4%に達しましたが、その後、物価上昇率は低下し、今年の8月にはとうとうマイナスに転じてしまいました。黒田総裁は、2%という物価目標の達成時期として「2015年度を中心とする期間」と説明してきましたが、今年の4月には「2016年度前半ごろ」と先送りを表明し、今回「2016年度後半ごろ」と再度、先送りしました。

 ただ黒田総裁は、時期は後ズレしているものの、2%の物価目標の達成は可能というスタンスを変えていません。その理由は、エネルギー価格を除外すれば、物価上昇が進んでいると解釈できるからです。9月の消費者物価指数は、8月に引き続いて連続のマイナスでしたが、これは代表的な指数である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」の数値です。しかし、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」を見ると、8月はプラス0.8%、9月はプラス0.9%と上げ幅を拡大しています。これは今年に入って円安が進み、輸入物価が上昇したことから事業者がコスト負担に耐えられなくなり、相次いで値上げに踏み切っているからです。原油価格の大幅な下落という特殊要因を除けば、日銀が説明するように、物価上昇は続いていると見ることも不可能ではありません。

日銀のホンネは?

 物価の上昇基調が変わらないので、今すぐに追加緩和をする必要がないというのが、今回緩和を見送った表向きの理由ということになります。しかし日銀のホンネは別にあると考えた方がよいでしょう。

 日銀はこれまで市場から大量の国債を買い入れてきましたが、最近は市場に国債がないという状況がより深刻になっています。日銀がこれまで買い入れた国債は200兆円にもなりますが、国債の発行残高は800兆円ほどあるので、数字上はまだまだ国債を買い入れることができます。

 しかし銀行や公的年金は、資産のバランスを考えなければならず、持っている国債をすべて日銀に売ることは困難です。このため市場に出回る国債が減少し、日銀が買いたくても買えなくなるという事態が懸念されています。このような状況ですから、仮に追加緩和に踏み切っても、以前のように大きな効果が得られるとは限りません。日銀としては、追加緩和は最後の手段ですから、できる限り温存しておきたいところです。

 一方、足元で景気はかなり冷え込んでいます。政府は補正予算を編成し、財政出動を強化する方針ですが、そうなると、再び財政頼みの状況に戻ってしまいます。財政再建の問題もあり、公共事業を通じた景気刺激策には限界があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/28(木) 19:10
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