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SDRに人民元採用の動き 人民元の国際化に向けた懸念とは?

2015/11/5(木) 7:00配信

THE PAGE

 IMF(国際通貨基金)が、SDR(特別引き出し権:Special Drawing Rights)に中国の人民元を加える方向で動き始めました。人民元は為替取引が制限されているなど、国際的な決済通貨として流通するには未成熟といわれています。人民元の国際化はうまくいくのでしょうか。

SDRって何?

 SDRとは、IMFが設置している準備金の一種で、今のところドル、ユーロ、円、英ポンドという4つの通貨で構成されています。通貨危機などが発生した場合には、加盟国がSDRから資金を引き出し、自国の金融システム安定化に活用することができます。IMFは基本的にドル・ベースで活動している国際金融機関ですが、SDRはIMFが持つドルの自己資金を補完する役割を担っています。つまりSDRに採用されるということは、国際的に極めて信頼性の高い通貨と認められたということを意味するわけです。

国家によって取引が制限されている中国人民元

 中国は以前から大国として処遇されることを強く望んでおり、人民元のSDRへの採用を求めてきました。しかし、中国は国際的な金融大国として振る舞うには不十分な面があり、米国などはSDRへの採用に慎重なスタンスを崩していませんでした。特に問題視されているのが、人民元の取引が国家によって制限されていることです。

 中国は、人民元の為替相場を一定の範囲内でコントロールする「管理変動相場制」を導入しており、通貨の取引は事実上、中国政府の管理下にあります。何もない状況においては大きな問題は発生しませんが、国家が管理する通貨は、いざという時に取引が制限されるリスクを排除できず、決済手段としての信用力はどうしても低くなってしまいます。人民元が国際通貨となるためには、自由な取引を拡大させていく必要があるわけです。

背景に英国と中国の急接近

 米国は、中国と交渉しながら人民元の国際化を徐々に進めていくつもりでしたが、ここ1カ月で状況が大きく変わりました。その理由は、英国と中国が急接近したからです。習近平国家主席は先月、英国を訪問し、多くの経済協定に合意しました。首脳会談では人民元の国際化についても話し合われた模様で、中国はロンドン市場で、自国以外では初めてとなる人民元建ての国債を発行する方針を表明しています。

 つまり、ロンドン市場を通じて人民元の国際化を進める方向性がはっきりしてきたわけです。ロンドンは世界最大の為替取引の市場ですから、ここで人民元取引が活発化すれば、国際通貨としての要件を満たすことができるようになるかもしれません。今回、IMFが人民元のSDR採用に向けて本格的に動き出した背景には、人民元を市場に取り込みたい欧州の意向が大きく関係しています。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/6(日) 2:37
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