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非正規雇用が4割に 「賃金の節約」が理由のトップ

2015/11/12(木) 8:00配信

THE PAGE

 非正規雇用が4割を超えたという厚生労働省の調査結果が話題となっています。非正規雇用はなぜ増加しているのでしょうか。

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 厚生労働省は今月4日、就業形態の多様化に関する総合実態調査の結果を発表しました。それによると、パートや派遣労働といった正社員以外の労働者の割合(事業所調査)は昨年10月時点で40.0%となり、調査開始以来、初めて4割に達しました。今回の調査から、官公営の事業所も調査対象に入っており、厳密な連続性はありませんが、2010年の前回調査から1.3ポイント増加しています。

 非正規雇用の一部には非常に高い賃金の仕事もありますが、マクロ的に見ると非正規雇用の賃金は正社員より安くなっていますから、本人が望んでいないにも関わらず非正規の仕事しかないという状況であれば、改善の余地があるといえるでしょう。正社員として働ける会社がなかったからという理由を上げた非正規社員の割合は18.1%で、前回調査の22.5%を下回りました。また専門的な資格・技能を活かせるからという理由は18.6%から20.1%に増えています。雇用環境が好転していることから、やむを得ずという理由は減少しているようです。

 ただ企業側の調査結果を見ると、正社員以外を雇用する理由のトップは「賃金の節約」(38.6%、複数回答)となっています。やはり企業は人件費を削減する手段として非正規雇用を活用しているようです。

 確かに日本全体で見ると、労働者に回るお金の割合は低くなっていることが分かります。ニッセイ基礎研究所の調査によると、日本の労働分配率は過去20年間で最低水準まで低下しました。つまり企業が生み出した付加価値(粗利益)が労働者にあまり分配されていないわけです。企業が利益を優先し、人件費を抑制していることが主な理由であり、非正規社員の増加はそのための手段になっています。

 バブル崩壊以後、日本企業全体の売上高は、円安になった一時期を除いてほとんど伸びていません。当然ですが、この結果は、日本の名目GDPが横ばいであったという事実と符合します。同じ期間、各国のGDPは1.5倍から2倍に拡大しているのですが、このことは日本企業のビジネス形態が20年間ほとんど変化しなかったことを間接的に示しています。

 一方で、高齢化対策もあり、日本企業が雇用する従業員の数はむしろ増加しました。雇用を維持するため、正社員の数を減らし、非正規社員の割合を増やすことで総人件費の抑制を進めてきたわけです。この動きを止めるためには、企業が生産性をさらに向上させ、賃金増加の原資を確保する必要がありますが、今の日本企業はそのような状況になっていません。根本的には日本企業が儲かる体質になっていないことが、非正規社員増加の要因と考えてよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 2:42
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