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老後の面倒は誰が見る?(下)最大の課題は財源、本気で決断する時期に

2015/12/2(水) 7:00配信

THE PAGE

 介護離職をゼロにするためには、特別養護老人ホーム(特養)を大幅に増設する必要がありますが、何と言っても最大の問題は財源です。

【連載】老後の面倒は誰が見てくれるのか?

社会保障制度の維持はますます難しく

 現在、介護保険制度からは年間約9兆円が支出されており、このうち、国と地方自治体が半額を負担。残りは国民が支払う介護保険料で賄われています。もし家族が一切の負担をすることなく、すべて施設でケアするということになると、介護費用は2倍に膨れあがると指摘する識者もいます。介護保険料を倍増させ、かつ国と自治体が追加で4.5兆円を負担しなければ、施設での介護を実現することはできません。

 消費税でこれをカバーしようとすれば、2%から3%の増税が必要となりますし、何より国民に課せられる介護保険料が大幅増額となるため、家計の負担は相当なものとなるでしょう。

 日本の社会保障制度は、これまで人口が増えることを前提に、いわばつぎはぎだらけで継続してきました。介護に限らず、年金や医療など、従来の社会保障制度を維持することはますます難しくなっています。私たちは日本の社会保障問題について根本的にどう解決していくのか、そろそろ本気で議論する必要がありそうです。

社会保障問題をどう解決するか2つの論点

 論点となるのは二つでしょう。一つ目は、老後の面倒は家族がみるのか、基本的に個人で完結させるのかという点です。日本の介護制度は家族が面倒をみることが前提になっているという話をしましたが、これは年金制度も同じです。日本の年金は個人が支払った年金保険料を老後に受け取るという仕組みではありません。子供が親の生活を支えるという家族主義的な考え方をベースにしたもので、世代間扶養が大原則となっています。この点で欧米の年金制度とは根本的に異なっているわけです。本当にこのままの制度でよいのか議論は分かれるところでしょう。

 もうひとつは、高い国民負担を負ってでも社会保障を充実させるべきなのかという点です。日本は欧州に比べると国民負担はかなり少ないのですが、現在の社会保障制度はすでに限界に達しています。十分なケアを実現する代わりに高い負担を受け入れるべきなのかについては、様々な意見があるはずです。

 この二つをどうするのか決めなければ、場当たり的に政策を打ち出しても、どれも中途半端に終わってしまうでしょう。どのような制度にするのかを決めるのは政治家でも公務員でもなく、主権者である私たち自身です。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/5(金) 4:44
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