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東芝がしぶしぶ原子力事業の減損額を公表、問題の「のれん代」って何?

2015/11/20(金) 7:00配信

THE PAGE

 不正会計が問題視されている東芝は17日、これまで開示していなかった原子力事業に関する減損額をとうとう明らかにしました。同社は米国の原子力企業であるウェスチングハウスを買収しているのですが、市場では買収に伴う「のれん代」を適正に評価していないのではないかという指摘が以前からありました。買収によって発生する「のれん代」とはどのようなものなのでしょうか。

「のれん代」とは?

 東芝は、2006年から2011年にかけて米国の原子力企業ウェスチングハウスを約6000億円で買収しました。同社はこのほかにも買収を行っており、その結果として貸借対照表(バランスシート)には、約6700億円にものぼるのれん代が計上されています。

 企業が他の企業を買収する場合には、その費用を会計上、どう処理するのかが問題となります。一般的に、対象となる企業の純資産額そのままで買い取れるケースはほとんどありません。売り手はできるだけ高く売却しようとしますから、何らかの形でプレミアムが付くことになります。のれん代とは、買収された企業の純資産額と実際の買収金額との差額のことを指します。買収を実施した企業は、こののれん代を処理する必要があるわけです。

東芝は米国基準を採用

 もし、買収したその年に、のれん代全額を費用として処理してしまうと、場合によっては見かけ上、大赤字となってしまいます。そうなると、本業がうまくいかずに赤字になったのか、前向きな買収の結果として赤字になっているのか、外部からは判断がつきません。また買収した企業は今後、何年、何十年にもわたって会社全体の利益に貢献するものですから、買収した年だけでのれん代を処理してしまうというのは、実態と乖離していると考えることもできます。

 このため日本の会計基準では、毎年一定額を均等に費用として処理していくことが定められています。処理する期間は20年以内となっており、企業ごとに適切な期間が設定されます。つまり、日本基準ではよほどのことがない限り、一定額を毎年機械的に処理する仕組みということになります。

 一方、米国会計基準や国際会計基準では、日本とは異なったルールが適用されています。のれん代については、毎年均等に償却する必要がない代わりに、買収した企業の経営状況を常にチェックし、業績が悪化した場合には、即座に減損処理をしなければなりません。東芝は米国基準を採用しており、買収したウェスチングハウスの経営が予定通りに進んでいないことから、減損処理を迫られたわけです。

 東芝はマスメディアが報じるまで減損の事実を公表せず、東京証券取引所が指摘するに至ってようやく開示に踏み切りました。同社の情報開示のあり方については非常に問題があると言わざるを得ません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/21(日) 3:32
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