ここから本文です

生死の境をさまよった医師が開発する「うんこゲーム」の目的とは?

2015/12/6(日) 14:06配信

THE PAGE

THE PAGE

 腸内細菌を擬人化した美少女キャラクターとともに敵と戦うスマートフォンゲーム「うんコレ」の開発が進んでいる。制作を推進しているのは、「日本うんこ学会」。なにやら妙な名前だが、一体どのようなゲームなのか。そして、どんな人が作っているのだろうか。「うんコレ」の中身と、現時点の制作状況について、この学会会長で、医師の石井洋介氏に話を聞いた。

「……さあ、まずは今日の便通から聞かせてください」

 舞台は、トイレの向こう側にある「ウントピア」という世界。ウントピアを守るため、プレーヤーは、そこの住人である別の美少女キャラたちとともに力を合わせて、敵に立ち向かう。画面上のスタートボタンにふれると、しばし暗転の後、1人の美少女キャラクター「カンベンヌ様」が現れる。プレーヤーに対し、彼女はこうせまるのだった。

 「……さあ、まずは今日の便通から聞かせてください。便の太さはいかがでしたか? 色は? 形は?」。

 一般的なスマホゲームだと、お金を支払うことで敵を倒すのに有効なアイテムなどが得られる。石井氏は「この仕組みが使えるのではないかと考えた」話し、「うんコレ」では、課金の代わりに、自分の排便状況を報告することで、アイテムなどが得られる仕組みを採用した。排便状況を報告するためには、自分の排便状況を確かめる「観便」が必要になる。取材時のデモでは、先の「カンベンヌ様」に観便の結果を報告する仕組みとなっていた。

 「ゲームをプレイしながら、日々の観便を通じて自分の健康状態に興味を持ち、大腸がん検診を受ける人を増やそう」ということがこのゲームの狙いだ。

生死の境をさまよった経験を活かす

 石井氏は、生死の境をさまよった経験がある。「15歳のころ、血便が出たんです。でも、親に相談はしなくて、自分でも大したことはないと思っていました」。

 難病の潰瘍性大腸炎だった。19歳の時に手術。一命を取りとめたが人工肛門をつけることになった。それでも、「(人工肛門は)ショックでしたが、それよりも、助かった、もう一回チャンスをもらった、という気持ちの方が強かったですね」。

 人工肛門の日々が続いたのは約1年弱ほど。20歳の時、横浜の病院で小腸を大腸のように作成して人工肛門を閉じる手術を受け、元の肛門生活に戻ることができた。「外科医はすごい」という憧れから、一念発起して受験勉強を開始。高知大学医学部、研修医の時代を経て、念願の外科医として働きはじめたのは2012年4月のことだった。

 手術が上手くなりたい、という思いで励んでいたところ、ある患者の大腸がん手術を執刀することに。「救ってみせる」と意気込んだが、手術を開始すると、すでに腹部の中は無数のがん細胞が転移するほど進行しており、手術で取りきれる状態ではないことがわかった。「腕を磨いても助けられない」と無力感を感じるとともに、がんの早期発見の重要さも悟った。

1/3ページ

最終更新:2016/3/2(水) 16:08
THE PAGE