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日本上陸の懸念も、刺されれば死に至る外来アリに備える

2015/12/10(木) 10:00配信

THE PAGE

 前回紹介したセアカゴケグモとともに近年分布を拡大して問題になっている外来生物にアルゼンチンアリという昆虫がいます。その名の通り、南米アルゼンチン原産のアリです。このアリは1993年に、広島県廿日市市で、初めて国内に侵入・定着していることが発見されました。

【連載】終わりなき外来種の侵入との闘い

ジプシー型のコロニーに女王アリが多数君臨する、アルゼンチンアリ

 その後、1999年に兵庫県神戸市、2001年山口県岩国市、06年愛知県田原市、07年大阪府大阪市および岐阜県各務原市、09年静岡県静岡市および京都府京都市、10年徳島県徳島市および東京都大田区、11年岡山県岡山市、そして2015年大阪府堺市と、瀬戸内から太平洋沿岸地域にかけて分布地域が次々と報告されています。

 主に港湾周辺の地域で生息が確認されており、その侵入に船舶による物資の移送が大きく関与していることが推測されますが、海に面していない京都市や岐阜県内でも発生が認められていることから、国内での物資の移送に伴う外来アリの分布拡大が始まっていると考えられます。

 また、彼らは、港湾施設に隣接する緑地帯、宅地や公園、畑地、など人工的に整備された環境に営巣しており、造成・建設などの土地開発に伴って、土砂や緑化植物とともに運ばれているものと予測されます。そう考えると、生息地域や分布拡大プロセスは、前述のセアカゴケグモと類似しています。クモもアリも小さくて、日常的に気にかける動物ではないため、侵入初期は気付かれにくく、分布が広がってから発見されるというケースが多いのです。

 本種は典型的なジプシー型の生活様式をとる種で、普通のアリのような巣穴や蟻塚を作ったりせず、ブロックの下、放置されたゴミの山の下側、マンホールの裏側、畑のビニルカバーの裏側など、風雨をしのげる場所に仮の宿を作って過ごし、いつでも環境が悪くなるとコロニー(営巣集団)ごと移動することができます。しかもその一つのコロニーに多数の女王が生息し(これを多女王性という。普通のアリの巣は単女王性)、それによって多数の働き蟻を生産して巨大なコロニーを作り上げます。

 

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最終更新:2016/2/10(水) 2:47
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