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動き出したシェアリングエコノミー(中)なぜ既存のビジネスと衝突するのか

2015/12/19(土) 7:00配信

THE PAGE

 民泊と並んで、シェアリング・エコノミーを代表するサービスとして急速に広まっているのがタクシーの配車です。専用アプリをスマホやタブレットにインストールし、クレジットカードを登録しておけば、いつでも自由にタクシーを呼び出して、決済まで出来てしまうという便利なサービスです。米国のUBERというサービスが有名ですが、アジアでは地域ごとに独自の配車サービスが急成長しており、激しい競争を展開しています(UBERは2013年から日本市場に進出しています)。

 タクシーの配車サービスは、その是非をめぐって各国で激しい議論となりました。その理由は、同じ配車といっても、性質の異なる二つのサービスが存在しているからです。ひとつは既存のタクシーをアプリで呼び出すというもので、もうひとつは、人を乗せてお金を稼ぎたい個人を仲介するというものです(いわゆるライドシェア)。

 既存のタクシーを配車するだけであれば、従来からある電話を使った配車サービスと同じですから、大きな影響はありません。問題は、タクシーに乗りたい人と、人を乗せたい個人を仲介するサービスの方です。これは、場合によっては、いわゆる白タクということになりますから、既存の法体系との衝突が懸念されるわけです。

 タクシーなどのサービスは多くの国で許認可制となっており、日本も例外ではありません。タクシーが規制の対象となる理由は、道路というものが税金で作られ、誰でもタダで利用できるものだからです。タダで利用できるものを自由に解放してしまうと、際限なくコスト競争が行われ、安全性などが低下する恐れがあります。

 これは土地にお店を出すことと比較すればよりハッキリするでしょう。例えば、お店を出す場合には、コストをかけて人が集まる場所を確保しなければなりません。費用対効果というものがありますから、自由に競争させても無制限な過当競争にはなりません。つまりマーケットメカニズムが働き、適正な価格で適正なサービスを提供できる事業者しか残らないわけです。

 しかしタクシーはクルマさえ用意できれば、税金で作られた道路を使ってタダで商売が出来てしまいます。しかも移動するものですから、場所の善し悪しも関係ありません。このためマーケットメカニズムがうまく働かないことが多く、過当競争になりがちです。このため政府は規制をかけ、認可された事業者しかタクシーの業務を実施できないようにしています。そうなると、参入できるかどうかは、政治的な力学で決まりますから、利用者のサービス向上は二の次となってしまいます。すべてがそうではありませんが、タクシーの接客レベルが低かったのは、タクシーが規制事業だったからです(レント・シーキング)。

 ライドシェアのサービスはこうした既存の体制と真っ向からぶつかってしまいます。その結果、既得権を持つタクシー業界と、新規の事業者が激しく対立しているわけです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/19(火) 2:47
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