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GDP上方修正を甘利大臣が事前に言及、これっていいの?

2015/12/13(日) 14:00配信

THE PAGE

 事前の予想通り、7~9月期のGDP(国内総生産)が上方修正となりました。今回のGDP改定値については、経済統計を担当する大臣が事前に上方修正に言及するという驚くべきハプニングがありました。経済担当大臣が事前に経済統計の見通しについて発言することについてはどう考えればよいのでしょうか。

 内閣府は8日、2015年7~9月期の実質GDPを公表しました。11月に発表された速報値ではマイナス0.2%でしたが、今回の改定値ではプラス0.3%と上方修正されました。設備投資の数値が上振れしたことが主な要因です。GDPの改定値には、速報値の発表後に公表される法人企業統計の結果が反映されます。法人企業統計における設備投資は大幅増でしたので、エコノミストの多くが、GDPの上方修正を予想していました。

 ところが今回は、予想を行うエコノミストに交じって、何とGDP統計を直接担当する甘利経財相自らが、上方修正される見通しについて言及しました。結果は間違っていませんでしたが、担当大臣が事前に経済統計の見通しについて言及したことについては、一部から疑問の声も上がっています。

 甘利氏は6日に出演したテレビ番組において、GDPの改定値が上方修正されるとの見通しを披露しました。7日には、この発言について、あくまで民間の予想を踏まえた結果であると説明しています。

 経済担当大臣は立場上、事前に経済統計の結果を知ることができます。担当大臣が不用意に発言してしまうと、市場に混乱を生じさせる可能性があるため、担当大臣はこうした発言を控えるのが一般的です。これに対して甘利氏は、数値を事前に知ることはできないので、職務上知り得た情報に基づいて発言したわけではないという趣旨の説明を行いました。

 しかし、それが本当だとすると今度はまた別の問題を生じさせます。甘利氏が数字を知ることができないということは、公務員が作成した経済統計を最高責任者である大臣がチェックできないということを意味しています。そうなってくると、誰の責任で統計を作成しているのかという部分が曖昧になりかねません。

 現実には情報漏洩を防ぐため、内閣府の中でもごく限られた人にしか事前に数値は知らされていませんが、民主国家である以上、国民から選ばれた政治家が公務員を監督するのは当然のことです。そうであればこそ(実際に数値を聞いていたのかどうかは別にして)、担当大臣は事前に数値を知り得る立場にいる必要があり、その結果として発言の自粛が求められるわけです。やはり、今回の発言は不用意なものだったと考えるのが妥当でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 3:38
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