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夫婦別姓合憲との判断、論点は人によってバラバラ

2015/12/17(木) 12:48配信

THE PAGE

 最高裁は16日、夫婦別姓を認めない民法の規定について「合憲」であると判断しました。夫婦別姓については様々な観点から議論が行われていますが、論点は明確に定まっていません。とりあえず司法判断が出た形ですが、今後も別姓をめぐる議論は続きそうです。

 裁判を起こしたのは都内に住む事実婚の夫婦など5人です。日本の民法には、夫婦は同じ名字にするという規定がありますが、原告は、この規定が「婚姻の自由を保障した憲法に違反する」として、国に賠償を求めていました。民法では、結婚にあたり男性・女性どちらの名前を名乗ってもよいことになっていますが、原告は、多くの女性が改姓を強いられていると主張しています。つまりこの訴えの重要な柱の一つは男女差別の解消ということになりますが、これに対して裁判所側は旧姓の通称を使用することで状況は緩和されているとの見解を示し、憲法には違反していないと判断しました。

 男女差別が生じているということであれば、別姓の問題ではなく、差別の解消という観点で議論した方がよいとの考えも出てきますが、事情はそう単純ではないようです。夫婦別姓を支持する人の中には、一人っ子などで跡継ぎがおらず、結婚による改姓で家系が途切れてしまうことを危惧している人も少なくないようです。そうなってくると、イエという概念を維持するために夫婦別姓が必要という、少々逆説的な話となりますから、男女差別とは論点が違ってくるわけです。中には、夫婦で名字が違うと子供に悪影響があると教育的な観点から議論する人もいます(ただしこの議論については、中国のようにもともと夫婦別姓の国もありますから、どれだけ根拠があるのかは不明です)。

 つまり、ひとことで夫婦別姓といっても、職場での男女差別の問題を気にしている人もいれば、イエ制度の存続を気にしている人もいますし、教育問題と捉えている人もいるわけです。それぞれは異なるテーマですから、論点を整理することは容易ではありません。さらに極端な発想をすれば、夫婦がどちらの姓を名乗ってもよく、イエ制度というものを意識しなければ、そもそも姓と名を分ける必要がないという考え方も出てくるでしょう。実際、そのような制度になっている国もあります。

 ちなみに、結婚後どちらかの姓を名乗るという民法のこの規定は明治に出来上がったものです。江戸時代までは、階級によって姓の取り扱いは異なっていましたし、諱(いみな)と字(あざな)のように同じ人が複数の名前を持つ習慣もありました。明治維新後、欧米の社会風習を真似る必要が出てきたことから、現在の姓名や夫婦同姓のシステムが出来上がったと考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/17(水) 4:06
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