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まだ追加緩和をしたくない日銀、「補完措置」とはいったい何なのか?

2015/12/24(木) 7:00配信

THE PAGE

 日銀が打ち出した新しい施策をめぐって市場に混乱が生じています。関係者の中からは黒田総裁らしからぬ、中途半端な決断との声も聞かれます。日銀はいったい何をしようとしているのでしょうか。

 日銀は18日に開催された金融政策決定会合において、現在の追加緩和を補完するための措置の導入を決定しました。具体的には、保有する国債の償還期限を2年延ばす、上場投資信託(ETF)の新規購入枠を設定する、不動産投資信託(REIT)の買い入れ制限を緩和するといった施策が盛り込まれています。

 ちょっと見ると追加緩和のように見えますが、中身をよく検証すると追加緩和にはなっていません。保有国債の償還期限を延ばす措置は、今後、さらに大量の国債を買い入れるための準備とも解釈できます。しかし来年は、今年以上に多くの国債が償還されて戻ってきてしまいます。償還期限を拡大しないと、現状の緩和策を維持できないというのが主な理由ですので、あくまで現状維持の一環ということになります。ETFも同様で、設定される3000億円の買い入れ枠は、日銀が今後、売却する株式の金額と一致します。基本的には売却した分の買い戻しとなりますから、株価対策にはならないでしょう。

 こうしたことから、黒田総裁は、「補完措置」と説明したものと思われますが 市場にはその真意はうまく伝わらなかったようです。追加緩和なのかそうでないのかが曖昧になってしまったという印象は否めません。

 量的緩和策の効果を継続させるためには、追加緩和が必要な状況であることは間違いありません。しかし、日銀は追加緩和を実施してしまうと、その先がないという状況に陥ってしまいます。ホンネでは、追加緩和は最後の最後まで取っておきたいと考えているはずです。

 好都合なことに、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)において利上げを決定しました。これによって円安傾向が継続する可能性が高くなりましたから、日銀が単独で追加緩和を行ったことと近い効果が得られます。黒田総裁としては、しばらく様子を見て、どうしても追加緩和が必要という段階まで引き延ばす作戦かもしれません。

 今回の決定はそれまでの暫定的な措置ということになりますが、中身が分かりにくかったのは、やはりマイナスでした。これまで分かりやすさとサプライズ感を前面に出してきた黒田総裁としては、少々失策だったといえるでしょう。表面的には緩和しているように見えて、実際には緩和していないという効果を狙ったものでしたらなおさらです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/24(日) 2:34
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