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動き出したシェアリングエコノミー(下)阻止か前進か

2015/12/27(日) 12:04配信

THE PAGE

 シェアリング・エコノミーに関連したサービスに対しては様々な意見がありますが、基本的にイノベーションの進行を人為的に止めることはできません。

 タクシーが過当競争になりやすかったのは、道路がタダであることに加えて、「流し」で拾う人が多いため差別化ができなかったからです。しかし、アプリを使った配車サービスやライドシェアであれば、顧客はサービス事業者を選ぶことができます。事業者間の差別化が容易になりますから、理論的にはマーケットメカニズムで過当競争を防ぐことができてしまいます。そうなってくると安全性が担保されないという理屈も成立しにくくなるわけです。

 こうした動きは、今後、あらゆる分野に広がっていくことになるでしょう。米国ではすでに、荷物を運びたい人と荷物を送りたい人をネット上でマッチングさせ、個人に宅配業務を委託するサービスが立ち上がっています。ネット通販大手の米アマゾンは、配送業務を個人に広く開放する方針を打ち出しました。

 これが日本でも実現すると、例えば東京から横浜へ行く用事がある人は,アマゾンのアプリをチェックし、横浜行きの荷物が登録されていれば、その荷物を受け取って横浜まで運ぶことで、アマゾンからお小遣いをもらうことが可能となります。これを全国的に展開すれば、ヤマトや佐川といった宅配事業者の仕事のかなりの部分が個人に置き換わってしまうかもしれません。

 美容院や理髪店のサービスも同様です。これらは衛生面や安全性の観点から出店には規制がかかっていますが、髪を切って欲しい人、お小遣いをもらって髪を切りたい人をマッチングしてしまうと、こうした規制は有名無実になってしまうでしょう。

 企業のホワイトカラーも例外ではありません。これまでクラウドソーシングと呼ばれる仕事の外注は、システムのプログラミングやWebサイトの構築など、特定技能に依存するタイプの職種に限定されていました。しかし最近では、企業の広報業務や企画業務といった、従来であれば正社員が独占的に担っていた仕事も外注化されるようになっています。これも社会に分散しているマンパワーをうまく活用するという点でシェアリング・エコノミーのひとつと考えてよいものです。

 シェアリング・エコノミーは、原則として既存のモノやサービスをシェアしたり仲介するというものですから、必ず既存の業界慣行や法体系と衝突することになります。

 一方、同じ仕事をより少ないリソースで実施できるということになれば、一時的には仕事を失う人がでてくるかもしれませんが、社会全体としては新しいサービスの創出に人的リソースを割くことができるようになります。イノベーションの進行は止められないということを前提に、どのようにすれば、新しいサービスをスムーズに社会に導入できるのかという、前向きな議論が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/27(水) 2:32
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