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マクドナルド栄枯盛衰(下)カサノバ体制と異物混入、そして米社の決断

2016/1/19(火) 15:00配信

THE PAGE

 日本マクドナルドは、原田体制に移行したことで、一度はV字回復を果たしました。しかし、割安な商品で顧客を集め、実質的には高い価格で商品を提供するという戦略はやがて行き詰まり、業績は再び低迷することになります。原田氏は経営悪化の責任を取る形で2014年に同社を退任、その後、米本社から派遣されたカサノバ氏がトップに就任しました。

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期限切れ鶏肉、異物混入、トラブル続出

 ところがカサノバ氏が就任してから間もなく、同社にはトラブルが頻発します。2014年7月に期限切れ鶏肉の問題が発生、さらに2015年1月には異物混入問題が表面化します。同社に対しては、2014年頃から異物が混入しているという指摘が相次いでいました。8月に大阪府の店舗で販売したフライドポテトに人の歯が入っているとの苦情があり、同社が調査を実施、その後も、青森県や東京都の店舗において「チキンマックナゲット」に異物が混入しているとの指摘があったほか、福島県の店舗ではデザートからプラスチック片が見つかっています。

 一部は原因を特定することができましたが、一部については最終的な原因は不明のままです。これだけ大規模に外食事業を展開していれば、異物が混入する可能性はゼロではありませんが、同社の経営手法について疑問視する声が出ていた時期と重なったこともあり、一連の事件は同社にとって大きな痛手となりました。業績の悪化は続いており、2015年12月期は、前期に引き続いて380億円の損失を計上する見込みとなっています。

米本社が株式の売却を決断した理由

 このタイミングで米本社が売却を決断したのは、足元の業績が低迷していることに加え、長期的に成長が見込めないと判断したことが主な理由と考えられます。同じ外資系企業でもスターバックスが株式を追加取得し、完全子会社にしたこととは対照的です。

 しかし、最大の理由は株価でしょう。同社の株価は足元の業績とは正反対に過去最高水準(上場直後を除く)で推移しており、今、株式を売却すれば米本社は大きな利益を得ることができます。

 現在、業績が低迷しているとはいえ、同社には高いブランド力と巨大な店舗網がありますから、経営を引き継ぎたい日本企業はたくさんあるはずです。本社直轄の経営を手放しても、投資収益などを総合的に考えれば、今のタイミングで株を手放すのがベストと考えたものと思われます。

 今後の同社の経営は、株式を取得する企業次第ということになりますが、もし同社の株価が大きく下落しなければ、米本社は最高のタイミングで売り抜けたということになるのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/19(金) 2:34
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