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ひとり親世帯の支援と介護要員の育成、島根県浜田市が取り組む介護事業とは

2016/1/13(水) 7:00配信

THE PAGE

 介護の分野において、新しい動きが出てきました。島根県の浜田市では、ひとり親世帯の支援策と介護要員の育成を同時に行う事業が進められています。また介護職員の不足が深刻な地域では、家族を介護することによって対価を得る仕組みも検討されているようです。

手厚い支援の数々

 浜田市の事業は、ひとり親家庭が、県外から移住し、市内の介護保険サービス事業所で就労研修を行う場合に、様々な支援が受けられるというものです。内容はかなり手厚く、月額15万円が研修体験費用として支給されるほか、月3万円の養育費や家賃補助(上限2万円)も支給されます。また中古自動車が無償で提供されるほか、研修前に支度金30万円、研修終了後には100万円の終了金がもらえます。首都圏に比べて地方は介護施設に余裕があるといわれていますが、一方で、介護人材の確保は容易ではありません。この制度は、シングルマザーなどひとり親世帯を支援するとともに、介護職員の育成を行うというもので、これまでにない取り組みといってよいでしょう。

 さらに人材獲得が困難な地域では、介護職員を確保するための新しい仕組みも検討されているようです。介護施設に入居している人の家族が、介護施設の職員となり、対価を受け取る形で身内を介護するというものです。確かにこの方法であれば、家族は生活費を稼ぐという行為と介護をセットにできますから、大幅に負担を減らすことが可能となります。また介護施設も容易に職員を確保できるというわけです。

支援策の導入には注意すべき点も

 ただ、こうした新しい支援策の導入には注意すべき点もあります。自治体が介護職員の育成を行っても、その人が、研修を受けた街で半永久的に介護に従事してくれるとは限りません(浜田市のケースでは、2年以内に退職した場合には、終了金を返済する規定があります)。費用を払った自治体と便益を受ける自治体が異なる場合、その利害をどう調整するのかという問題が起こる可能性があります。

 また家族を介護職員として活用するケースでは、場合によっては希望しない人まで、半強制的に家族の介護を求められる可能性もゼロではありません。以前は多くの自治体で介護手当(家族を介護するともらえる手当)が存在していましたが、家族介護の固定化を招くとの考え方から、家族介護慰労金など別の形に変更する自治体が増えています。本来、施設による介護は、家族による介護と切り離すために存在していますから、運用方法によっては、本末転倒な結果になる可能性も否定できません。

 しかしながら、今後、介護職員の不足が深刻化することは確実であり、新しいやり方を模索することは非常に大事なことです。試行錯誤を繰り返し、実際に効果のあるやり方を広めていくという柔軟な姿勢が求められるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 2:41
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