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台湾総統選挙で蔡英文氏圧勝、議会でも過半数獲得。なぜ今独立志向なのか?

2016/1/19(火) 7:00配信

THE PAGE

 台湾で16日、総統選挙(大統領選挙)が実施され、台湾独立を志向する野党・民進党の蔡英文主席が圧勝しました。民進党は立法院(議会)選挙でも過半数を獲得したのですが、総統と立法院の両方で民進党が主導権を握るのは中台分離以後、初めてのことです。なぜ今、台湾では独立を志向する人が増えているのでしょうか。

 中国は清王朝が支配する帝政国家でしたが、1911年の辛亥革命によって中華民国が成立しました。しかし中国の内政は安定せず、太平洋戦争を挟んで国民党と共産党との間で内戦(国共内戦)となり、勝利した中国共産党は1949年、中華人民共和国を建国し、現在に至っています。内戦に敗れた国民党は台湾に避難し、そこで中華民国政府を継続しました。双方は、自らが正統な中国政府であるとの立場を譲らず、二つの中国が併存する状態となっていたわけです(ちなみに日本政府は1972年の日中国交正常化によって中華人民共和国を正式な中国と見なしています)。

 中国は文化大革命の影響などもあり経済発展が遅れ、その間、台湾はめざましい経済成長を実現しました。台湾国内では、国民党員を中心とする中国大陸から渡ってきた人(外省人)と、もともと台湾にいた中国人(内省人)の対立が続いていました。国民党は独裁的な政治を続け、内省人を冷遇していましたが、台湾の経済が発展するにつれ、内省人の発言力が強くなり、独立を目指す動きが高まっていったわけです。

 独立運動が最高潮となったのが、台湾独立を掲げる野党・民進党の陳水扁氏が2000年に総統に就任した時です。しかし、台湾の独立に対しては反対意見も多く、民進党は次の選挙で破れ、再び国民党が政権を握ることになりました。

 ところが、その間に中国は改革開放路線によって驚異的な経済成長を実現し、中国と台湾の経済的な立場は逆転してしまいます。当初、共産党と敵対していたはずの国民党は、中国の台頭を前に路線転換を余儀なくされ、何と共産党との融和路線に舵を切ってしまいます。これによって台湾は中国に取り込まれてしまうのではないかとの観測も出てきました。

 最近になって再び台湾で独立の機運が高まっているのは、中国の影響力があまりにも強大になりすぎたからです。2014年には中国との間で調印したサービス貿易協定に反対する学生が立法院を占拠するという事件が発生し、国民党の馬英九総裁は対応に苦慮しました(ひまわり運動)。この運動が盛り上がったのも、強大な中国経済圏に飲み込まれるのではないかとの不安が国内にあったからです。

 中国を脅かすほどの経済力があった2000年当時より、中国に飲み込まれる状況になった今のほうが、独立の機運が高いというのは少々皮肉な結果です。では独立志向が強い民進党政権の登場によって、台湾がすぐに独立を目指すのかというと、そうはならないでしょう。蔡氏は徹底的な現実主義者といわれており、現在の民進党における対中政策の基本方針は「現状維持」です。まずは経済問題など、山積する国内の課題解決に取り組むものと考えられています。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/19(金) 2:36
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