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原発事故に節目はあるのか? 廃炉調査同行ルポ

2016/1/19(火) 10:45配信

BuzzFeed Japan

まるで、普通の工事現場のような光景だった。

「お疲れ様です」。すれ違う人たちは、建設会社の名前が入った作業着姿で気軽に挨拶を交わす。笑顔もみられる、日常。しかし、その風景は、構内中心部に近づくと一変する。化学繊維製の防護服に身を包み、三重の手袋、二重の靴下、顔全体を覆う全面マスク。一切の外気を遮断する装備が必要となる。1日7千人がこの日常と非日常の空間を行き来し、廃炉作業を続けている。

これが事故から5年を迎える福島第一原発の現状だ。

BuzzFeed Newsは1月14日、福島第一原発(通称1F=いちえふ)構内に入った。「福島第一原発廃炉独立調査プロジェクト」(以下、調査プロジェクト)への同行取材を許可された。

調査プロジェクトは昨年10月、社会学者の開沼博氏が中心となって立ち上げ、元東電社員で原発視察ツアーを手がける吉川彰浩氏、廃炉作業員によるルポ漫画「いちえふ」作者の竜田一人氏が協力する。30年~40年にわたり続くとされる廃炉作業について、1Fの情報を関係者だけのものにせず、社会に伝える必要があるとの問題意識からだ。国や東電から独立し、民間の資金で調べて、発信している。現在は、5年目の3.11に向けて重ねてきた1F取材などををまとめた書籍「福島第一原発廃炉図鑑」の制作が進んでいる。

今回、同行できたのは図鑑制作チーム全体では3回目の1F取材。写真や動画撮影、東電幹部へのインタビューは取材チームに特別に許可されたものであり、BuzzFeed Newsも同行という形で取材許可を得た。

原発への出勤ラッシュ

朝8時過ぎ、福島県広野町と楢葉町にまたがるJヴィレッジ。1Fから直線距離で約20キロに位置する。かつてサッカー日本代表の合宿で使われた名物施設は、原発事故後、廃炉作業の拠点に変わった。中に入ると、歴代日本代表の写真も掲げられているが、目立つのは作業員を激励する寄せ書きだ。「日本のために頑張ってください」「絆」「心」、そして千羽鶴。全国の小・中学生から送られたものが多く飾られている。

入り口にグレーやカーキの作業服を着た男たちが集まっている。東電社員が着る制服は紺地に青が混ざったもの。服の色だけで、彼らは東電から廃炉作業を請け負った「協力企業」の作業員であることが一目でわかる。

彼らは1Fへ向かうバスを待っていた。7千人の作業員で、早朝には出勤ラッシュもあるが、この時間帯は少しばかりラッシュを外れている。周りを見渡すと、スポーツ紙に目を通す50代前後の作業員、スマホをながめる若い作業員。談笑の声に様々なお国言葉が混じる。福島訛りも聞こえる。

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最終更新:2016/1/29(金) 10:33
BuzzFeed Japan