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原油価格の諸問題(下)原油価格の下落が長期化したならば

2016/2/8(月) 10:00配信

THE PAGE

 原油価格の下落は本当のところ世界経済にどのような影響を与えるのでしょうか。

毎年100兆円近くの富が産油国から先進国に

 前回、原油の主要産出国は米国、サウジアラビア、ロシアであり、この3カ国で全世界の原油生産の4割を占めているという話をしました。一方、石油の消費は、米国と欧州、日本など先進主要国に集中しており、米欧日の消費量は全世界の4割を占めています。

 原油価格は2014年以降、1バレル=100ドルから30ドルに下落しているわけですが、これは、先進国から産油国に支払われる石油の販売代金が3分の1になったことを意味しています。原油価格が下落すればその分、先進国は大いに得をすることになり、その金額はざっと計算すると年間100兆円を超えます。つまり、原油価格の下落は、毎年100兆円近くの富が産油国から先進国に移っていると言い換えることができるわけです。

 先進国は安価にエネルギーを入手できるので、原油価格の下落は、経済の活性化につながります。特に石油の消費量が多い米国では、原油価格が1ドル下がると個人消費が1%増加するといわれています。加工貿易を行っている日本も恩恵が大きいでしょう。

 一方、原油価格の下落は、資源国にとっては大打撃です。石油の販売代金減少によって経済が低迷するだけでなく、投機資金の引き上げによって市場が不安定になります。国家収入の大半を石油に依存するロシアへの影響は甚大となっており、資金の国外流出や通貨ルーブルの暴落、10%を超えるインフレが同時に発生し、国内経済は大混乱となっています。

今後の世界経済はすべて米国にかかっている

 原油価格の下落には、こうした二面性があるのですが、ここで重要となってくるのが米国の立ち位置です。先ほど列挙した産油国と消費国の中で米国の名前だけが両方に登場しています。つまり米国は最大の産油国であり、最大の消費国でもあるわけです。したがって米国は原油価格の下落によって両方の影響を受けることになります。しかも世界の中で唯一好調な経済を維持しているのは米国だけですから、今後の世界経済はすべて米国にかかっているといっても過言ではありません。

 米国における石油の総消費量は1日あたり1900万バレルと産出量を大きく上回っており、今のところ消費国としての側面が強いと考えられます。しかし天然ガスなどを含めた全体で見ると、米国はエネルギーのほぼすべてを自給できる状況にあり、資源国としてのニュアンスが強くなってきます。もし原油価格の下落が長期化し、これが米国経済における消費に波及してくることになると、全世界的に景気後退に陥る可能性が高まってくるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/8(月) 11:59
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