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甘利氏の辞任で注目、都市再生機構(UR)ってどんな組織?

2016/2/2(火) 10:00配信

THE PAGE

 アベノミクスの司令塔だった甘利経財相が、金銭問題に対する責任を取って閣僚を辞任しました。甘利氏が口利きしたとされているのは、独立行政法人都市再生機構(UR)なのですが、URとはどのような組織なのでしょうか。

UR賃貸「99%赤字、損失30億円」ってどういうこと?

 URの前身の一つである日本住宅公団は、住宅の取得が困難な労働者に良質な住宅を提供する目的で設立されました。日本がまだ貧しかった昭和の時代には、住宅事情の改善に効果を発揮してきましたが、豊かになり十分な住宅インフラが整ってからは、弊害の方が目立つようになってきました。

 最大の問題は、政府系組織という圧倒的な立場を利用して開発業務を行っているため、民間の事業を圧迫している点です。東京都中央区の晴海には、晴海アイランドトリトンスクエアという大型複合施設がありますが、これはURが主体となって開発を行ったものです。もともとは、日本住宅公団の晴海団地があった場所であり、URはこれを再開発したわけですが、現在のトリトンスクエアには、住宅だけでなく、超高層ビルも建ち並び、一流企業がオフィスを構えています。こうした開発に対しては、庶民に良質な住宅を提供するという当初の目的を逸脱しており、民業を圧迫しているとの批判が出ています。

 民間企業は開発を行うために銀行から融資を引き出す必要がありますが、URの場合、資金のほとんどは政府の財政融資資金から出ています。URの資産総額は何と13兆円もあり、自己資本は1兆円にすぎません。政府からは11兆円もの借金があり、この利払いだけでもかなりの金額となります。利払いのための資金を捻出するため、高級タワマンなど、収益性の高い案件を手がけるという形になっており、確かに本末転倒という面があることは否定できません。

 またURの幹部の多くは、国土交通省などからのいわゆる天下りで占められており、政府にとっては最後の聖域とも呼ばれています。甘利氏がどの程度の口利きをしたのかはまだ明らかではありませんが、政治家が業務に介入できるのだとすると、官営の事業ならではということになるでしょう。

 URについてはこれまで何度も民営化の議論が出ましたが、いまだに実現していません。その最大の理由は、URの資産規模があまりにも大きすぎるからです。莫大な資産を市場メカニズムに沿って時価評価した場合、大幅な債務超過に陥る可能性があり、その場合には、多額の国民負担が発生することになります。甘利氏は自身の意図とは関係なく、パンドラの箱を空けてしまったのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/2(火) 10:00
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