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「私の父の行いを非難します」 テロリストの息子ザック・エブラヒムさん

2016/2/2(火) 9:41配信

BuzzFeed Japan

テロリストの父から憎しみを教えられた息子は、別の人生を選んだ。平和を分かち合う道を。著書「テロリストの息子」が邦訳され、来日したザック・エブラヒムさん(32)に憎しみと破壊を乗り越える方法を聞いた。

エブラヒムさんは、エジプト人技術者の父と、キリスト教からイスラム教に改宗したアメリカ人教師の母の間に生まれた。故郷はアメリカのペンシルバニア州。父エル・サイード・ノサイル氏は助けた女性から強姦したと訴えられたが、結果は冤罪だった。その後、職場で感電事故に遭い、しばらく働けなかった。

父はその頃からイスラム教の原理主義にはまり込んでいく。オサマ・ビン・ラディンの師であるアブドラ・ユセフ・アッザムと出会い、「ジハード(聖戦)」と口にする機会が増えていった。父はアメリカ国内でテロを起こそうと、射撃の練習も始めた。エブラヒムさんも射撃訓練に参加させられた。「その頃、狙ったランプに命中させると、周りがみんな喜んでくれた」。

やがて、父は「アメリカ本土で人の命を奪った最初のジハーディスト(イスラム教の聖戦主義者)」として、その名が知られるようになる。

エブラヒムさんが7歳だった1990年、父はユダヤ人極右組織「ユダヤ防衛同盟」の創設者ラビ・メイル・カハネ氏の射殺事件に関わったとされ、逮捕。殺人容疑では無罪だったが、銃の不法所持で有罪となった。

1993年、世界貿易センタービル爆破事件が起こる。爆破を実行したのはエブラヒムさんが「おじさん」と呼び、親しんでいた男たちだった。この事件には服役する前の父が関わっていた。服役中の父も爆破事件の罪に問われ、終身刑が確定した。

残された家族は、10年足らずの間に20回の転居を繰り返した。殺害予告、メディアから取材攻勢、そして宗教、人種差別発言。学校でいじめにあったエブラヒムさんは自殺を考えるようになる。

周囲から差別を受けながらも、エブラヒムさんは父と同じようにテロリズムに染まらなかった。

「テロの犠牲者の方々のために私は立ち上がり、こうした非情な行為に断固反対し、私の父の行いを非難します」。インターネット上でこう宣言した。

2014年に各界の著名人がスピーチをするTEDカンファレンスに参加。スピーチをもとにした『テロリストの息子』を出版した。本は昨年、日本語訳された。

今年1月、富山県氷見市で行われたTEDxHimiの講演に来日しているエブラヒムさんは、BuzzFeed Newsの取材に対し、彼が選んだ道、そして彼が考える平和の意味を語った。

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最終更新:2016/2/2(火) 9:41
BuzzFeed Japan