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首相が今春「非公式」に訪露へ 「公式訪問」とどう違う?

2016/2/10(水) 16:05配信

THE PAGE

 安倍晋三首相が4月下旬から5月上旬にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する意向だと報じられています。場所は首都モスクワではなく、ロシア南部のソチ。大統領の年内の公式訪問に向けた調整などが行われる見込みです。ただ今回の訪露は「非公式訪問」との位置づけといわれています。これはどういうことなのでしょうか。元外交官の美根慶樹氏が解説します。

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法的な定義はなく慣例的な区別

 安倍首相が非公式にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談することになったと伝えられています。場所についてはモスクワでなく、地方になるようです。かつて森首相がイルクーツクでプーチン大統領と会談したことがあります。

 「公式訪問」と「非公式訪問」の違いは何でしょうか。

 「公式訪問は国を代表して訪問する場合で、非公式訪問は個人的に訪問する場合だ」というたぐいの説明があります。一見分かりやすいですが、単純化しすぎでしょう。たとえば、非公式に首相が訪問しても、一国の首相として話し、行動することに変わりありません。寝物語のような特殊な状況では別でしょうが、首相としての重みは必ずあります。「話したことは個人の考えだ」と言っても相手は一国の首相の言葉として取るでしょう。

 そもそも、「公式訪問」と「非公式訪問」は法的に定義された言葉でありません。慣用に従った区別なのでどうしてもその区別が明確でない場合があることは前提として頭に置いておく必要があります。

 「公式訪問」はその内容と形式がパターン化されていることが特徴です。具体的なことは受け入れる側で定めます。

日本での「公式訪問」のパターンは?

 日本では、最も格式が高い「国賓」の場合、天皇との会見が行われます。首相などとの会談も当然あります。晩さん会も天皇主催の晩さん会があり、さらに首相の晩さん会、あるいは午餐会なども行われます。その他、「国賓」の場合は、儀仗兵による歓迎式典、国会での演説などそれにふさわしい内容の訪問日程が組まれます。さらに、「国賓」は派遣する側についても「元首,皇太子,王族,首相,副大統領又はこれに準ずる者」と定められています。

 「国賓」よりグレードが低い「公式訪問」もあります。「国賓」の次は「公賓」です。さらに外務省は「公式実務訪問賓客(国公賓に準ずる者)」「実務訪問賓客(国賓及び公賓に準ずる者)」「外務省賓客(閣僚・主要国際機関の長)」を区別しています。「国賓」から順次受け入れパターンは簡単になります。また、既定のパターンにはまらない行事が多くなります。

 「公式訪問」であっても派遣国と受け入れ国の間で合意が必要です。「国賓」の場合でさえ外国が日本に対し要望を出してくることがあります。その結果、以上に説明したパターンに沿わない場合も出てきます。

 「非公式訪問」はこのような受け入れのパターンが決まっていない訪問ですが、完全に自由なのではありません。首相が訪問すれば相手国の大統領や首相に会って会談するでしょう。プライベートに行くのとはやはり違います。その程度においては、「非公式訪問」といえども、公式性があります。また、被災地訪問など要望があっても、受け入れ態勢がなければ断ることがあります。

 会談後に共同声明を発表するか、記者会見を行うかは、その時々の判断によります。

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最終更新:2016/2/10(水) 16:05
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