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「イスラム国」の牢獄から脱出 元囚人らの記憶を辿る

2016/2/10(水) 9:59配信

BuzzFeed Japan

シリア北部の町、テルアビヤド。IS(イスラム国)のジハード戦士たちは、地下牢獄へと続く階段の上に、走り書きをしていた。「立ち入り禁止」の注意書きだ。

地下の暗闇の中には、ずっしりとした机の後ろに、埃をかぶった椅子があった。かつてはISの衛兵が監視していたその牢獄は、現在は空っぽで、したたり落ちる水の音だけが聞こえる。ここで囚われていた人たちが体験した恐怖を思い起こさせるのは、今となっては壁のメッセージだけだ。新参者たちは、机のところで先にいた囚人たちと出会うこともあった。「死はあなたのもとへおとずれる。神は偉大だ」

トルコへ渡る国境に近いテルアビヤド北部の古いビルの地下室。かつてそこに囚われた囚人たちは安全からすぐ近い距離にいた。ISは2014年6月にテルアビヤドを占拠。対立する武装勢力によって退却させられるまで1年間街を支配した。

牢獄は国境に近接しているせいで、シリア政府が空爆の標的にするのは難しく、密輸入者や難民たちもそこにいた。囚人たちはISの過激主義カリフ制の残酷な虐待に直面しながら、トルコの国境警備や、NATO同盟による民主主義の生活からも近い距離にいた。

地下で一番大きな部屋は、断首刑の宣告を受けた人たちの部屋だった。ラジエーターの上にコーランが積まれており、囚人たちは最期の日を待つ間、コーランを読むよう命じられた。ドアの外には別の命令が落書きされていた。 「近づくな」

囚人たちはホールの先にあるいくつかの小部屋に押し込まれていた。彼らは部屋のコンクリートの壁に暗号めいた言葉を刻んだり、鉛筆で書きこんだりした。 「神の許しを請え」と書かれたもののほか、こんな書き込みがある。「神にも慈悲はある」

自分の名前を書いた者もいる。残された時間を記録したものもいくつかある。そのひとつは、46日で終わっていた。電話番号だけを書き残したものもある。どの壁にも数字の羅列が書き込まれていた。

電話番号のほとんどは、今、使われていない。先日の夜、ある電話番号にかけたところ、穏やかな声の男性が電話に出た。「この番号をどうやって手に入れたのか?」と聞いてきた。

男性は26歳。昨春、父親と共に投獄されたという。親子はテルアビヤドの街で野菜の露天商をしていた。切羽詰まってタバコの密輸に手を出し、ISの民兵に捕まり、コンクリートの地下室に閉じ込められた。それは彼の心の中に鮮明に残っている。「決して忘れることができない」と彼は言う。

男性は、難民として暮らしているトルコ南部の街で会うことに同意した。彼はお茶をすすっていた時、落ち着かない様子だった。自分もいつか牢獄で死ぬのだ、と思いながら、数々の電話番号が書きこまれていたコンクリート壁に自分の番号を書き加えたことを思い出したのだ。別の囚人が彼に言った。「殺されたら、ここにあなたがいたことを、誰かが家族に伝えるだろう」

そう話しながら、彼の両手は震えていた。彼は無事に牢獄から出ることができ、ISがテルアビヤドから撤退しているにも関わらず、ジハード戦士たちが彼を監視しているのではないかと心配し、彼らについて語ることを恐れていた。牢獄での記憶がよみがえると、彼は両手の中に顔をうずめた。

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最終更新:2016/2/10(水) 9:59
BuzzFeed Japan