ここから本文です

「前を向くんだ」シリアを逃れた18歳ラッパーの胸中

2016/2/15(月) 17:37配信

BuzzFeed Japan

音楽が収容所生活の心の支えになった

「戦争が起こって、母親をおいてきたんだ。家族一緒に平和な場所で暮らしたかった」と語るシリア難民で18歳のラッパー、アリ。13歳で家族と故郷であるアレッポをあとにし、オーストラリアの収容センターで歌を書き始めた彼は、何を思うのか。

「俺達の唯一の選択肢は、シリアのパスポートで入ることが比較的簡単な、人殺しのない平和な国に移住することだった」と彼は言う。
しかし彼の父親は労働権を持っていなかったため、それは難しいと判断されてしまった。

「父親と俺は、家族がもっと良い国で暮らせるよう、自分達を犠牲にしようとしていた。その希望に一番近い国がオーストラリアだった。2013年、俺と父親は国を離れ、インドネシアへ違法入ったんだ。亡命志願者としてオーストラリアにボートで渡り、保護を求めるためにね」

アリが歌を書き始めたのは、ナウルにあるオーストラリアの収容センターに収容されているときだった。

多くの亡命を試みた人たちと同じように、ビザがなくボートで入国しようとした彼は収容センターに入れられた。そこで、オーストラリアに移住することは不可能だと言い渡されたのだ。

ナウルの収容センターの生活環境は、調査で子供にとって安全な場所とは言えないことが判明している。オーストラリアの上院の調査に対し、看守や収容者から子供への性的虐待などに加え、水漏れのするテントや不発弾が放置されている教室など、おぞましい生活環境を、ケースワーカーが明らかにしている。

収容生活は子供の心の健康に非常に大きな影響を与えることが分かっている。政府から委託された調査では、17人の子供に、口を縫ったり、首つりを試みるなどの自傷行為が見られたことが分かった。看守たちは彼らを名前でなく、乗っていたボートの番号で呼んだりしていたという。

「思いを声に出そうとしているんだ /そうすればみんな難民を疫病みたいに見なくなるだろ?/ 自分を飛べない鳥みたいに感じる / 暗闇の中にいる鳥のようだ」 

「俺が音楽を始めたのは収容センターにいたときだった。そうすることで気持ちが落ち着いた。そしてオーストラリア政府に向けて、政治的メッセージを送っていたんだ」と彼は語る。

「俺のラップは、自分が直面している現実と、俺たちのような人間がどれだけ虐げられ、不公平な人生を送っているかについてなんだ。そこから脱出して、自由をつかむことを歌っている」

アリは英語、アラブ語、ペルシャ語、フランス語が話せる収容者たちとグループを作った。そして、センターの他の収容者たちのためにパフォーマンスをした。
「彼らのおかげで、がんばって彼らの痛みをマイクに乗せようと思えたんだ」と彼は言う。

グループの何人かが他の収容センターに移送されてしまった後、彼は、歌の録音を手助けしてくれたセンターのスタッフに勇気づけられる。
「スタッフの一人が俺の音楽を録音しようとしてくれた。彼は本当にいくつかの歌をこっそりレコーディングするのを手助けしてくれたんだ」

1/2ページ

最終更新:2016/2/15(月) 18:55
BuzzFeed Japan