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視覚・聴覚障害を知っていますか? 当事者の女子大生が伝えること

2016/2/22(月) 9:37配信

BuzzFeed Japan

バレエ舞台の両脇でバレリーナたちが見つめる中、『眠れる森の美女』の妖精は、舞台上で華麗に踊る。クラシックの音色に合わせ、指先からつま先まで、正確なリズムでポーズを決めてゆく。彼女には、一緒に出演するバレリーナたちの美しい姿は見えていない。音楽も、半分しか聞こえない。

上智大学4年生の兼子莉李那さん(23)。視覚・聴覚障害者だ。

莉李那さんは、生まれつき眼球が小さい「先天性小眼球」だった。右目は、光を感じる程度でほとんど見えない。左目も障害のために視野が極端に狭く、見える範囲はストローの穴のサイズ。見える部分も視力は0.03しかない。

限られた光、そして、音

障害は、視覚だけではない。

左耳は感音性難聴。ほぼ右側からしか音が聞こえないため、音がどの方角から聞こえてくるか、空間的に捉えることが難しい。

視野の外から声をかけられると、どこからその音が聞こえてきたのかわからない。立ち止まり、限られた視野で相手を探す。白杖を持って街中を歩いていると、莉李那さんの障害を知らない人たちが、ひそひそと話す声が聞こえることがある。

「あの人、本当は見えているんじゃないの?」

まるで周りが見えているかのように歩けるのは、一度通った場所は懸命に記憶しているからだ。初めての場所は戸惑うし、人と少しぶつかっただけで、方向感覚がわからなくなってしまう。ちょっとした段差やくぼみでも、彼女には難所になりうる。
目が見え、耳が聞こえる人には何でもないことが、大きな壁になる。それが、彼女が生まれたときからの日常だ。

彼女の原動力とは何か

4歳から続けるクラシックバレエで、難関で知られる英国のバレエ教師資格「Royal Academy of DANCE Vocational Graded Examination」を取得。小学生の頃から勉強してきた得意の英語を生かし、上智大に入学した。彼女の原動力は何か。

「障害者は自分より絶対下の人間という見方が強いのは、悔しい」

「障害者としてのプライド」を持っているからか、ステレオタイプのせいなのか、なかなか理解してもらえない。その経験は、子供の頃から何度となく繰り返した。

「りーちゃんなんかに負けたって言ったら、ママに怒られちゃう」

「りーちゃんとりーちゃんママは、障害者らしく悲しそうにしてればいいんだよ」

教科書を拡大コピーし、地道に勉強を頑張ったり。可愛らしい服を着て親子で楽しそうに登校したり。「そういう当たり前のことすら、違って受け止められることがありました」と母の亜弓さんは振り返る。

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最終更新:2016/2/22(月) 9:37
BuzzFeed Japan