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混乱のシリアから逃れ LGBT難民を包む絶望

2016/2/26(金) 15:53配信

BuzzFeed Japan

シリアからの戦火を逃れ、トルコにたどり着いたLGBTの難民。彼らを支援するNGO「ORAM」は、その亡命プロセスについて「官僚主義的で、最初から非効率的」と話す。LGBT難民の現状を探った。

シリアのダマスカス。街外れのバス停で、Mがバスを待っていると、武装集団が車を止め、彼女に車に乗るよう命じた。

フレームの太いメガネをかけ、髪を耳の上で切り揃えていたMの姿は、人目に付いた。大部分が敬虔な市民で占めるこの地域では、ほとんどの女性がヘッドスカーフを身につけているからだ。2014年7月のあの日、彼女は標的となった。

「お前はヘッドスカーフをしていない。それに、なぜお前の髪は短いんだ?」男たちはMの顔を平手打ちし、後頭部を殴りつけながら、彼女を問い詰めた。彼らはMに、コーランの一節を暗唱し、イスラム教徒であることを証明するよう強要した。幸いなことに、彼らが選んだ一節は、Mが子どもの頃に習ったことがある部分だった。

「お前はなぜ男の真似をしているんだ?」彼らはMを問いただした。「これでお前は死刑になるんだぞ」

武装集団は、Mを目隠ししたままの状態で2日間拘束した。その間、近所のモスクから聞こえてくる祈りの呼びかけを数え、時を把握した。

46歳のMが住んでいた地域は、その夏、政府軍が反乱軍をシリアの首都から追い払おうとした際に戦場となっていた。地域が包囲された時、近所の人々の多くが負傷した。代替医療で生計を立てていたMは、政府軍、反乱軍の別なく、無償で負傷者の治療にあたった。

その時の慈善行為が、結局は彼女の命を救った。拘束されて2日目が過ぎようとする頃、彼女を捕えた男たちが「シーク」と呼ぶリーダーが、「mistarjili」(男性のように振る舞う、女性に対する罪)で、Mに死刑が下されたと言った。しかし、彼はMに、こうも言った。「よく聞きなさい。私はこの決定を押し付けるつもりはない……地域の全ての人々に聞いてまわったが、誰もが、あなたは他の人たちを助ける人だと言った」

武装集団はMを解放した。彼女の手元に残ったのはIDカードだけで、死刑執行の猶予はごく一時的なものにすぎない、と警告された。

「いつ殺されてもおかしくない」。シークが警告した。「すぐにこの地域から立ち去りなさい」

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最終更新:2016/2/26(金) 15:53
BuzzFeed Japan