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CG・合成一切なし。無重力ミュージックビデオの裏側を聞いてみた

BuzzFeed Japan 2016/2/26(金) 17:50配信

2007年にグラミー賞「最優秀短編ミュージック・ビデオ賞」を受賞するなど、奇想天外なMVで話題の米ロックバンド、OK Go。無重力空間での一発撮りにチャレンジした新作、「Upside Down & Inside Out」について、ボーカルのダミアンさんに話を聞きました。スタッフが58回も嘔吐したって、どんな撮影だったの?

気になってFacebookの公式ページにあるメディア向け問い合わせ窓口にメールしたところ、メディア対応の担当者から返事が。OK Goのボーカルのダミアンさんが答えてくれるとのことで、いろいろ聞いてみました。

ーーこのアイディアはどのようにして思いついたんですか?

「数年前、民間の企業が宇宙に進出しはじめたんだ。ヴァージン・ギャラクティックとか、スペースXとか」

ヴァージン・ギャラクティックは、宇宙旅行ビジネスをしている会社。そして、スペースXは、イーロン・マスクによって設立された宇宙輸送をしている会社です。

「それで、急に宇宙が身近に感じられるようになったんだよね。そのとき、もうすぐ宇宙で誰かがアート作品を制作するんじゃないかって思ったんだ。すごい興奮したよ。それから宇宙飛行士訓練やパラボリックフライト(放物線飛行)について調べはじめたんだ。だから、今回のMVは10年近く温めつづけてきたアイディアなんだよね」

こうして、10年の構想を経てようやく完成したのがこのMV。やっぱりロマンや。

ダミアンさんが送ってくれた資料によると、今回の撮影で合計21回も飛行したとのこと。しかも、1回の飛行で重力・無重力を8回繰り返すというハードっぷり。

ビデオにはチェーンやペイントバルーンなどさまざまな道具が登場しますが、このアイディアにたどり着くまでにはかなりの試行錯誤があったようです。

ーー他にも何か試したアイディアがあったのですか?

「たくさんあったよ。ほとんど上手くいかなかったけどね。無重力空間が不規則すぎたんだ」

「例えば、歯磨き粉でワイヤーフレームの立体物をつくったり、トランプや本、雑誌などで何か形をつくろうと試してみたよ。でも、テスト飛行で学んだのは、一回一回の飛行がまったく異なるということ」と、撮影の苦労を教えてくれました。

「毎回、機体が前後・左右・上下に動いてしまうんだ。しかも、機体が動くたびに僕たちはその逆の方向に動いているような錯覚に陥る。宙に浮いてるからね。例えば機体が上昇すると、床が迫ってくるから僕たちは下に向かっているような感覚になるんだ」

試行錯誤の末に落ち着いたのが、「チェーンで円をつくるというアイディア」

ほかにも、「いろいろな液体も試してみた」とのこと。「本編ではまったく使われなかったけど。液体の種類によって、何か違いがあるかもしれないって思ったんだ。例えば、缶ジュースやスープは、水とは違う『感覚』を喚起するんじゃないか?」と考えたそうです。

「咳止めシロップみたいなどろどろした液体と、マウスウォッシュみたいなさらさらした液体を比較したりもしたな。他に、麺類や豆も試してみたよ。それから、液体を空中に放つ方法もいろいろ試してみたんだ」

メンバーで化粧品店に向かい、それぞれが使いたいアイテムを買ったこともあるとか。「買ったのは、スプレーボトルに、ジェルポンプ、それからチューブとエアゾール缶。卵を割ってみたり」したそうです。そして、最終的には「シンプルなペイントバルーンがベストだって結論に至ったんだ!」

こんなにシンプルなアイディアの裏にも度重なる試行錯誤があったんですね……。

MVは1ヶ月かけて計画され、実際の撮影には3週間かかったんだとか。1週目でいろいろなアイディアを試し、2週目で気に入ったアイディアを構成に落とし込み、3週目で最終盤を撮影したといいます。

また、撮影は一発でしたが、飛行中に重力・無重力が繰り返されるため、重力がかかっている部分の映像はカットしているそうです。それでも、重力がかかっている間のポーズを、次の無重力のタイミングまでなんと5分間も維持しなければならなかったため、撮影は相当キツかったとのこと。

ダミアンさんは「日本は第二の故郷だよ」と、日本への思いも語ってくれました。「日本のみなさんには、いつも感謝しています!」

最終更新:2016/2/26(金) 18:20

BuzzFeed Japan