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国内消費に陰り、賃上げや財政出動で回復するのか?

2016/3/11(金) 7:00配信

THE PAGE

 国内の消費に陰りが見え始めています。政府内部では大規模な経済対策が検討されているようですが、本当に消費が低迷してしまった場合、これを回復させるのは容易なことではありません。

実質消費は連続してマイナス

 総務省が発表した「家計調査」によると、1月における家計の実質消費支出は、二人以上の世帯で28万973円と、前年同月比で3.1%のマイナスとなりました。消費支出がマイナスになるのは5カ月連続なのですが、2015年において消費が前年を上回ったのは実は2回しかなく、2014年もやはり2回しかありませんでした。つまり、過去2年間、実質消費は連続してマイナスが続いているという状況なのです。

 消費が伸びない理由ははっきりしています。労働者の実質賃金が減少しているからです。厚生労働省の毎月勤労統計調査による2015年の実質賃金は前年比で0.9%のマイナスでした。実質賃金がマイナスになるのはこれで4年連続となります。名目上の賃金は上がっていますが、物価の上昇に賃金が追い付いていないようです。

財政出動の大判振る舞いには金利上昇リスクも

 消費者がモノを買わないとなると、企業は生産を抑制してしまいます。経済産業省が発表した鉱工業生産指数(季節調整済み)によると、1月の速報値は前月比プラス3.7%でしたが、2月の予想はマイナス5.2%、3月の予想はプラス3.1%となっています。1月がプラスとなったのは、中国の春節需要を見越して前倒しの生産が行われたことが原因と考えられますから、おそらく一時的なものでしょう。この状況が続いた場合、企業は設備投資を抑制し始めますから、これによってさらに所得が減るという悪循環になりかねません。

 政府は財政出動を視野に入れた大規模な経済対策を実施する方向で検討を始めているようですが、財政問題が重くのしかかっており、大判振る舞いは金利上昇リスクを高めてしまうでしょう。

金融政策は財政政策に先祖返り

 消費を回復させるためには賃金を上げればよいという意見もありますが、企業の生産性が変わらない状態で賃上げだけを行った場合、インフレを誘発してしまう可能性があります。本来であれば、この部分に対応する政策がアベノミクス第3の矢だったはずですが、残念ながら第3の矢は一部を除いて、ほとんど実施されていません。

 日本は90年代までは財政出動を繰り返してきましたが、ほとんど効果は得られませんでした。その反省から小泉内閣では構造改革が試みられたもののこれも頓挫しています。代わりに登場してきたのが量的緩和という金融政策なのですが、今回、再び財政に戻ろうとしています。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/3/11(金) 7:00
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