ここから本文です

世界で一つ、ミシュランが認めたラーメンはこうして生まれる

2016/3/9(水) 14:25配信

BuzzFeed Japan

巣鴨に店舗を構える「Japanese Soba Noodles 蔦」は、2016年度版の「ミシュランガイド・東京」でラーメン店として初めて星を獲得した。「今、世界で一番、ありつくのが難しいラーメン」とも呼ばれる。その理由は、整理券だ。早朝6時半から整理券が配られ、預かり金として1000円をスタッフに渡す。これがないと暖簾をくぐることすら許されない。営業は11時~16時。指定された時間に再訪し、預り金を受け取ってようやく対面できる。作っているのは、大西祐貴さんだ。

従業員も知らない「蔦」の味

味の決め手となる「タレ」は、従業員ですら作り方を知らない。定休日に一人で仕込む。

「今でも店に泊まりこむこともありますね。作って作って作って……繰り返し。風呂はないので、厨房からホースで水を引っ張ってきてシャワー代わりにすることもありました(苦笑)。丸椅子を並べて寝たり」

苦労を重ねてできあがる一杯は、食べているその瞬間ごとに味が変わっていく。化学調味料を一切使わないため、温度によって性質が変わっていくのだという。

「作り方自体も常に変えています。今日の客さんが、また来てくれた時『同じ味』じゃなくて『もっとおいしい』と思ってもらわないとダメ。完成形なんてないですから。現状維持は退化のはじまり」

彼女と歩いていたら、突然開いた「ラーメン道」

大西さんがラーメンを作り始めたのは、高校を卒業する間近の時だった。「複雑だった」と語る家庭。父はほとんど家にいることがなかった。しかし――

「彼女と一緒に歩いてたら、久しぶりに親父が現れて『明日からラーメン屋はじめるから』と誘われて。特別ラーメンが好きだったわけじゃない。でも、久しぶりに親父に会えて嬉しかったのもあると思いますね」と振り返る。

家に帰らなかった父が始めたラーメン店。それが湘南の名物ラーメンとして名高い「めじろ」である。

5年の歳月が流れ、大西さんは他の世界も見たいと父のもとを離れる。「おいしさを追求するためには、広い視野が必要だなと。固定観念に縛られたら、『その味』しか作れない。だから、自分自身の人生をちゃんと歩みたかったんです」。

しかし、アパレル業界で働きバイヤーとして各国を5年間飛び回ったのち、再び「めじろ」に戻る。

「買い付けで世界中のいろんなものを見ているうちに、ふと『ラーメンやりてぇな』って思ったんですよね」

機は熟した。

1/2ページ

最終更新:2016/3/9(水) 15:59
BuzzFeed Japan