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公募議員に相次ぐ不祥事、新人教育は? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語

2016/3/25(金) 19:00配信

THE PAGE

 不倫騒動で辞職した宮崎謙介元衆院議員や、金銭トラブルが原因で離党した武藤貴也衆議院議員ら「公募」選出議員の不祥事が相次ぎ、自民党内に見直しの声もあるようです。こうした問題は「公募」制度ならではなのか。あるいは国会議員の新人教育が党の中で十分にできていないからなのか。さまざまな疑問が湧いてきます。そこで一時期を除いて1955年から政権与党であり続ける自民党の仕組みを中心に考えてみました。

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●世襲批判と「公募」制度

 国会議員の公募制度とは、要するに「ふつうの就職活動」です。党が幅広く人材を公に募集し、経歴や志望理由書、論文でエントリー。通過者には面接などを施します。最近では政党支部、都道府県支部連合会単位で選んできました。地元選出の国会議員に加えて地方議会の議員の賛成多数で決まります。まず、ここが問題ではないかとの指摘が出ています。ものすごく優秀な候補がいても、地方議員からすれば選挙に勝てばボスになる人物で御しにくいとなればためらうとか、国会議員もすい星のように地元からスターが生まれるとなると痛しかゆしです。

 一方で、候補が選挙で勝ってもらわないと意味がないというのも事実。そこで若さや容姿、経歴が輝かしい者を選ぶ傾向があります。武藤氏は東京外国語大学卒業、京都大学大学院修了。宮崎氏は早大卒で会社経営。なかなかですね。容姿の評価は避けますが、まあ悪いってことはないでしょう。

 面接やプレゼンテーションがあるといっても、それだけは得意という人はいるわけで、政治家としての資質が計りきれるのか疑問が生じます。

 公募が近年重視されてきたのは、政治家の「世襲」批判と裏腹です。かつての自民党にも世襲はいました。同時に地方議員や実業家からの叩き上げ、官僚出身、マスコミや法曹などバランスよく配置されていたのです。世襲が多くなったのは、衆議院に小選挙区制が導入されてから(最初の選挙は1996年)。手間ひまかけて知名度ゼロの候補を育てるよりも地元後援会をそのまま引き継げ、苗字には知名度と先代の愛着がある2世3世の方が押す方も押される方も戦いやすいというのが増殖の原因です。

 裏を返せば、とこうした選択が非民主的であるとか、議席を私物化しているといった批判が出た結果として、公募を増やしているという流れもあります。

 不透明ないし不適切な方法で選んでいるとしたら問題だとして、自民党は16年参議院通常選挙の比例代表候補に「ネット投票」を試みています。審査を経た10人を「ファイナリスト」としてネット上に掲載し最多投票者を代表名簿に載せます。

 野党第一党の民主党は「大補強2015 逸材公募」を行っています。民主党「特命人事部」が置かれ、玉木雄一郎部長は「現在の民主党は『新入社員が入って来ない会社』のような状況」とバッサリ切りつけ、「反骨のエキスパート」を求めるそうです。反骨とは「容易に人に従わない気骨。権力に抵抗する気骨」(広辞苑)とあります。国会議員は権力そのものですから奇妙な主張とも読めるし、今の「安倍1強」を「権力」とみなしての表現ならば分からなくもありません。あれだけネット上にぶち上げていて、いまだ参議院選挙区が埋まらないので苦戦を強いられていそうです。

 元来「公募」は成長過程にあった頃の民主党がお得意としていた手法でした。自民党現職が居座っていて出られる選挙区がないと嘆いていた官僚らが次の選択肢として民主党の公募へチャレンジしました。もっとも口を開けていたら強い候補が集まったというわけではありません。09年総選挙で大勝した背景には小沢一郎氏の地道な、しかし強かな候補者掘り起こしがありました。全国の選挙事情に詳しい小沢氏が勝てそうな候補を見出し、時に日参してまで立候補を要請してきました。

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最終更新:2016/3/25(金) 19:56
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