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携帯電話の「ゼロ円表示」は、惑わされやすいことの裏返し

2016/3/26(土) 7:00配信

THE PAGE

 安倍首相の発言をきっかけに廃止が決まったはずの「ゼロ円携帯」が早くも復活しているそうです。ゼロ円携帯の消滅によって販売台数が激減し、販売店が悲鳴を上げてしまったからです。

通信料金の各国比較、日本は安い方

 昨年9月、安倍首相が経済財政諮問会議の席上、突然「日本における携帯電話料金の家計負担は大きい」と発言、総務省はこれを受けて有識者会議を急遽発足させ、携帯電話料金の引き下げに向けて議論を開始しました。確かに日本の携帯電話の料金体系は複雑で分かりにくく、透明性の観点から問題があるのは事実です。しかし、料金そのものは、諸外国と比較してそれほど高いというわけではありません。

 例えばスマホを1カ月あたり音声36分、メール129通、データ5Gバイト利用するという条件で各国の料金を比較すると、日本(東京)は8642円ですが、米国(ニューヨーク)は1万4096円、ドイツ(デュッセルドルフ)は1万3052円、英国(ロンドン)は8323円と、日本はむしろ安い部類に入ります。

 日本の家計支出はこのところ減少傾向が顕著となっており、スマホの普及とも相まって、家計支出に占める携帯電話料金の割合は上昇しています。携帯電話料金を高く感じる最大の理由は、電話会社が割高な価格を提示しているからではなく、日本の家計が貧しくなってしまったからです。このため事業者としては、いくら首相の指示でも、安易に値下げに応じることができないというのが現状です。

ゼロ円表示は、惑わされやすいことの裏返し

 総務省の有識者会議でもこの点については指摘が相次ぎ、議論はいつの間にか、料金の引き下げから、端末価格表示のあり方に焦点が移っていきました。最終的には端末価格の表示を是正するガイドラインを策定することになり、昨年12月には、携帯電話各社に対してガイドラインの遵守を要請する形に落ち着きました。

 これを受けて2月には、実質ゼロ円という表示はなくなったかに見えたのですが、3月には、早くも似たような表示が復活していると一部メディアでは報道されています。

 ただし、今回のやり方は前回批判されたものとは少し内容が異なっているようです。既存機種を比較的高い下取り価格で買い取る仕組みなのですが、ガイドライン上、下取りと値引きは別項目になっており、従来の値引きには当たらないというからくりです。 

 下取りを組み合わせているとはいえ、従来の実質ゼロ円と似たような販売方法ということになりますから、こうしたやり方には批判の声が出てくるかもしれません。

 ゼロ円を強調する販売店の手法も問題ですが、一方で、利用者の側も、もっと賢くなる必要があるでしょう。ゼロ円という表示がなくならないのは、表示に惑わされやすい利用者が多いことの裏返しです。自分が何に対してお金を払っているのか、しっかり確認するクセを付けた方がよさそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/3/26(土) 15:24
THE PAGE

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