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トランプ氏が日本の核保有言及で注目の核不拡散体制とは

2016/3/30(水) 7:00配信

THE PAGE

 米共和党のトランプ候補がとうとう日本の核保有の可能性について言及しました。これは米国が戦後推進してきた核不拡散体制と真っ向から対立する考え方ですが、核不拡散体制とはどのようなものなのでしょうか。

 核不拡散体制とは、米国主導の核兵器に対する国際的な枠組みで、第二次大戦における主要戦勝国以外の核保有を原則として禁止するというものです。つまり、核兵器を保有してよいのは、米、英、露、中、仏の5カ国に限定されるわけです。具体的には核拡散防止条約(NPT)が1970年に発効しており、現在では日本を含む世界の約190カ国がこの枠組みに参加しています。

 米国が核不拡散体制を構築したのは、核戦争のリスクを低減させるためですが、一方で、最初に核兵器を保有した国の優位性を半永久的に維持するという政治的な目的もあります。実際、NTPの発効によって圧倒的な核戦力を持つ米国の優位性は揺るぎないものとなりました。

 核不拡散体制の下では、独自の核開発は許容されませんが、一切の例外が存在しないというわけではありません。非同盟政策を掲げるインドは当初からNPTに加盟していませんが、独自に核開発を行っていますし、インドと対立するパキスタンも同様です。両国の核開発については、米ソ冷戦への対応が最優先されたことから、事実上、黙認されてきたというのが実態です。またイスラエルも実質的に核兵器を保有していますが、米国の中東政策上、これについても正面から非難されることはありませんでした。

 一方、北朝鮮のように一旦はNPTに加盟したものの、その後脱退し、独自に核開発を行った国もありますし、イランのようにNPTに参加しながら開発を進めたところもあります。ただ北朝鮮については厳しい制裁が科されており、イランは核を放棄することで米国と和解しつつあります。

 日本は当初から核不拡散体制を支持しており、自らも非核三原則を掲げています。しかし、日本は平和目的に限るとはいえ独自に原子力開発を行うことが認められており、これも日米安全保障条約という軍事同盟を背景にした一種の特別待遇といってよいものです。つまり日米同盟が存在するということは、地政学的には、米国の核の傘に入っているとの解釈になるわけです。

 トランプ氏の発言は、単独の話ではなく、日米同盟の見直し論とセットになっています。核不拡散体制の下では、日本は何も考えずに米国が提供する安全保障システムのメリットを享受することができました。万が一、こうした枠組みが見直されるということになれば、日本は自由に行動できるようになる一方、どのようにして国の安全を担保するのか根本から考え直さなければなりません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/3/30(水) 7:00
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