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栃木女児殺害、自白調書の任意性とは? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語

2016/3/30(水) 14:00配信

THE PAGE

 2005年に栃木県で起きた小1女児殺害事件で宇都宮地方裁判所は、殺人罪に問われている被告が検察の取り調べ段階で自白した供述調書を証拠採用すると決定しました。自白の任意性を認めたものとみられます。検察側は無期懲役を求刑し、被告弁護側は無罪を訴えています。そこで「自白調書の任意性を認める」とはどういうことか? について考えていきます。以下の論述はあくまで一般論であり、小1女児殺害の裁判に疑いをさしはさんでいるわけでは決してないことをあらかじめご了承下さい。

被告人の「供述調書」とは

 日本の制度では一般に事件が発生して捜査するのは第一次捜査権がある警察の仕事。被疑者を片端から当たり(被疑者とは警察が少しでも疑った者。大半は犯人ではない)、犯人と確信した人物が逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断すれば逮捕(身柄拘束)します。

 48時間以内に罪をさらに追及すべきと判断したら検察庁へ身柄を移します。そうでなければ釈放です。検察の取り調べは10日間。必要があればさらに10日延長できます。担当は刑事部の検察官です。その結果「起訴すべき」との判断が出れば裁判にかけます。起訴とは「裁判にかける」です。でなければ不起訴として釈放します(在宅起訴のケースは省きました)。

 警察が必死になって集めるのが「物的証拠」です。凶器や遺留品、指紋など。まさに「物的」なので変化のしようがありません。正当に収集された物的証拠は犯行があったという事実を証明する決定的な手がかりとなります。

 対して「供述調書(供述証拠)」は、被疑者(裁判にかけられる前)が捜査段階で検察官や警察官の尋問に答えた事実や発言などを指します。刑事訴訟法において作成してもいいとの根拠があり、調書ができたら被疑者に閲覧させるか読み聞かせて「誤りがないか」と確認し、認めたら署名押印を求められます。拒絶しても構いません。

 署名または押印のある調書が証拠にできるというのも刑事訴訟法の定めです。ただし「任意」になされた供述でなければ証拠とはなりません。自白調書と呼ばれるのは供述調書のうち自白を含む部分で、法的には供述調書の範囲内です。

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最終更新:2016/3/30(水) 14:04
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