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ブラックホールの謎に迫る 通信不能のX線天文衛星「ひとみ」が背負う期待

2016/4/1(金) 10:00配信

THE PAGE

 2月17日に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられたX線天文衛星「ASTRO-H」は、打ち上げ成功の後に「ひとみ」と名付けられました。「すざく」の100倍の感度を持ち、これまでは見えなかった遠くのブラックホールを観測して、銀河の形成過程に迫るのが大きな目的でした。

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 しかし宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月27日、「ひとみ」が交信不能になっていると発表。現在も通信異常は続いており、正確な位置など詳しい状況は分かっていません。

 ここであらためて、「ひとみ」とはどんな人工衛星で、宇宙のなぞ解明のためのどんな期待を背負っていたのか? について振り返ってみたいと思います。

世界のX線天文学のカギを握る「ひとみ」

 「ひとみ」は、地球を周回しながら宇宙を観測する天体望遠鏡です。ハワイにあるすばる望遠鏡 などが天体からの光のうち、人の目に見える部分(可視光)をとらえるのに対し、「ひとみ」は波長の短い電磁波(X線、ガンマ線)をとらえるためにつくられました。しかしX線やガンマ線は地球の大気を透過しないので、地上の望遠鏡では観測できません。このため、ロケットに載せて宇宙空間まで出て行く必要があります。

 レントゲンなどに使われるX線やガンマ線 は、可視光の1万倍以上のエネルギーを持っています。そのような高エネルギーの光は、特に高温の天体から放たれます。X線やガンマ線を出しているのは、銀河団(数百~数千個の銀河の集まり)やブラックホール、超新星残骸(超新星爆発後に残った天体)といった、いわば天文学の“スター選手”たち。漆黒の宇宙空間に対しては、冷たく静かなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、このような天体の周囲では、我々の想像を超えた超高エネルギー現象が起きていて、その温度は数百万~数億度にも達していると考えられています。

 例えば、ブラックホールには、ガスがものすごいスピードでまわりを回りながら落下しています。こうした熱くダイナミックな宇宙の真の姿は、電波や目に見える光ではなく、X線やガンマ線でないと見ることができないのです。

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最終更新:2016/4/1(金) 14:40
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