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日本の超優良企業が赤字転落の見込み 海外展開が裏目に?

2016/4/4(月) 19:11配信

THE PAGE

 三菱商事と三井物産という日本を代表する超優良企業が赤字転落の見込みとなりました。また三菱グループに属するキリンホールディングスも、上場以来、初の赤字決算となる見通しを明らかにしています。各社に共通するのは、資源安の影響です。

 三井物産は3月23日、2016年3月期の決算において、当期損益が700億円の赤字になる見通しを明らかにしました。当初の見込みは1900億円の黒字でしたから、2600億円のマイナスということになります。翌24日には、三菱商事が通期決算の赤字転落を発表しています。3000億円の黒字予想から一転して1500億円の赤字ですから、マイナス幅は4500億円と三井物産を上回ります。同じく三菱グループの企業であるビール大手キリンホールディングスも、1140億円の損失が発生したことで、通期の損益が560億円になる見通しを明らかにしています。

 日本を代表する超優良企業であるはずの各社が、立て続けに損失を出した原因は、このところ急速に進んだ資源安です。三井物産は銅価格の大幅な下落からチリの銅事業で減損を余儀なくされました。またオーストラリアの石炭事業などでも減損が発生しています。三菱商事もチリの銅事業において2800億円の減損となったほか、オーストラリアの鉄鉱石事業などでも損失を計上しています。キリンの場合には、ブラジル事業の低迷が損失拡大の主な要因となりました。資源安の影響でブラジル経済はボロボロの状態となっており、そのあおりを受けた格好です。

 1バレル=100ドルを超えていた原油価格は一気に下落が進み、現在では40ドル前後になっています。これにともなって新興国の経済は大幅なマイナスとなっており、特にブラジルとロシアは壊滅的な状況です。原油価格の下落は先進国経済にとってはプラスですが、今のところ新興国のマイナスをカバーするまでには至っていません。

 商社は近年海外の資源ビジネスへのシフトを強めており、これによって好業績を維持してきました。また食品メーカーや飲料メーカーの一部は、縮小する国内市場を補うため積極的に海外市場に進出しています。

 海外事業への過度な依存を警戒する声も出ていましたが、結果的にこうした展開が裏目に出てしまいました。幸い各社とも盤石の財務体質であり、今回の損失は財務的には何の問題もありません。しかし、これまで赤字になることがなかった日本を代表する超優良企業が揃って赤字に転落するというインパクトは小さくないでしょう。

 場合によっては海外展開を見直す動きのきっかけとなるかもしれませんが、そもそも国内の市場に見切りを付けた結果としての海外展開ですから、単純に国内回帰すればよいという問題ではありません。パナソニックは国内回帰を鮮明にしたことで利益体質への転換は実現しましたが、10兆円という売上げ目標を撤回するなど成長性を捨てざるを得ない状況となっています。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/4(月) 19:11
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