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「鴻海のメリーさん」とも例えられる女帝、黄氏って誰?

2016/4/7(木) 7:00配信

THE PAGE

 鴻海精密工業によるシャープの買収契約がとうとう成立しました。鴻海は3888億円を投じてシャープの増資を引き受け、株式の66%を取得します。日本の家電大手が外資系企業に買収されるのは初めてのことになります。

 今回の買収劇では、鴻海のカリスマ経営者である郭台銘(テリー・ゴウ)氏の辣腕ぶりが多くの人に知られるところとなりました。郭氏はいまや世界的な名経営者ですが、郭氏の思い切った決断の背景には、創業から郭氏と二人三脚で鴻海を作り上げてきた「女帝」の存在が大きいといわれています。

 その女帝とは、同社の財務責任者である黄秋蓮氏です。黄氏は、2005年に亡くなった郭氏の前妻の叔母にあたる人物で、鴻海が小さな町工場として業務をスタートした時から、お金の面で郭氏を支えてきました。黄氏は、郭氏の交渉にも同席することが多く、資金面におけるすべての決定権を握っています。郭氏がシャープ本社を訪れた際、郭氏の後ろにぴったりと張り付く、鋭い目つきの女性がテレビに映っていましたが、それが黄氏です。ちなみに黄氏の夫である游象富氏も郭氏の側近として辣腕を振るっています。

 黄氏が郭氏の親族であることや、大きな影響力を持っていることなどから、日本の関係者の中には、黄氏のことをジャニーズ事務所副社長のメリー喜多川(藤島メリー泰子)氏になぞらえる人もいるくらいです。

 中国人は、一族の団結が固く、会社も同族で経営するケースが多くなっています。経済学の世界では、こうした血縁関係による経済体制のことをクローニー資本主義と呼ぶことがありますが、鴻海はまさに同族経営の強みが最大限発揮された企業といってよいでしょう。

 同社の売上高は15兆円もあり、100万人以上の従業員が雇用されています。本来であれば、あまりにも規模が大きすぎて、意思決定にはかなりの時間がかかるはずです。しかし、シャープ買収のような大型案件に対しても、経営陣は極めて迅速に対応しました。

 最近では、労働集約型企業からの脱却を目指しており、生産ラインの多くをロボットで自動化する計画を進めています。人海戦術を基本とし、大量の労働者を抱える企業が、大規模な事業転換を進めるのは並大抵のことではありません。

 こうした動きができるのは、一族を中心としたごく少数の幹部が、すべての権限を握っているからです。郭氏のカリスマ性と一族の団結力が維持されている間は、日本企業には真似のできないパワーを発揮するでしょう。一方、同社の経営に曲がり角がやってくるとすれば、それは一族の団結が崩れた時かもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/7(木) 7:00
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