ここから本文です

賃上げ企業の株式を組み込んだETF上場へ しかし、儲かるの?

2016/4/8(金) 7:00配信

THE PAGE

 積極的に賃上げを実施する企業の株式を組み込んだETF(上場投資信託)が上場します。アベノミクスを応援する投信というわけですが、賃上げをすると企業の利益は減ってしまいます。この投信は儲かるのでしょうか。

5月以降、次々と上場へ

 日銀は昨年12月の金融政策決定会合において、年間3兆円のETF購入枠とは別に「設備・人材投資に積極的な企業の株式を組み入れるETF」を追加購入する方針を明らかにしていました。アベノミクスの趣旨に沿った経営を行う企業の株式を積極的に購入することで、量的緩和策の効果を補完することが目的です。

 これまで賃上げに特化したETFは存在していませんでしたが、日銀は、そうしたETFが登場してきた場合には、すぐにこれを買い入れるとしています。これを受けて投信会社各社は新しいETFの組成を急いでおり、すでに何社かは上場申請を済ませました。5月以降、次々と市場に上場する見込みです。

賃上げしたら企業の利益が減るのでは?

 ここで疑問が出てくるのは、この投信は本当に儲かるのかという点です。賃上げを行えば企業の利益は減ってしまい、株価が下がる可能性があるからです。しかし現実にはそのようなことにはならないでしょう。

 政府の賃上げ要請に応じて実際に賃上げを行う企業は、基本的に儲かっている企業です。おそらく政府からの要請がなくても、それなりの賃上げは実施していたはずであり、賃上げそのものが経営に影響する可能性は低いでしょう。また、このETFで想定している条件は賃上げだけではありません。積極的に設備投資している企業も投資対象に入ります。経営が好調な企業ほど設備投資に積極的ですので、結果的には株価は上昇しやすくなります。

株価上昇で賃上げなら……

 ただし、賃上げ企業に特化することには落とし穴があるのも事実です。賃上げは儲かっている企業が行うものですが、企業の利益が上がるタイミングと実際に賃上げが行われるタイミングにはズレがあります。つまり増収増益となり、株価も順調に上昇してから、賃上げが決定されることも多いのです。このタイミングでは、株価がすでにピークとなっている可能性が高く、そこから投資してしまうと投資収益としてはマイナスとなってしまうかもしれません。

 また、どのような企業の株を日銀が買うのか、あらかじめアナウンスしてしまうことは、市場の価格形成プロセスを歪めてしまうとの批判も出ています。株式は国債に比べてボラティリティが高く、株価が大きく下落してしまうと日銀のバランスシートは傷んでしまいます。こうした措置はほどほどにしておかないと、副作用の方が大きくなってしまうでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/8(金) 7:00
THE PAGE