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マイナス金利なのに住宅ローン金利引き上げは、顧客への負担転嫁なのか?

2016/4/12(火) 7:00配信

THE PAGE

 マイナス金利だというのに住宅ローンの金利が上昇しています。マイナス金利によって銀行の経営が苦しくなっており、利用者に負担が転嫁されるとの懸念がありますが、今回の金利上昇はその一環なのでしょうか。

マイナス金利政策に対する消費者の懸念

 メガバンク各行は、4月1日から住宅ローンの金利を一斉に引き上げました。三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行では、10年固定の住宅ローン金利が、もっとも優遇されるケースで0.8%から0.9%になっています。その他の銀行も同じように金利の引き上げを実施しました。

 マイナス金利政策は、日銀の当座預金の残高に対して手数料を徴収するというものです。日銀が銀行から国債を買い取った代金は当座預金に入金されますから、銀行は何もしないと日銀から手数料を取られてしまいます。つまりマイナス金利は、銀行の経営を意図的に圧迫し、銀行が融資を拡大するよう促すための政策と考えてよいでしょう。

 しかしながら、銀行は収益悪化懸念を融資の拡大でカバーするとは限りません。顧客から徴収する手数料を引き上げたり、貸し付け金利を引き上げるなど、負担を転嫁することも可能です。マイナス金利政策に対する世間の評判が悪いのは、消費者にこうした懸念があるからです。

ローン金利の引き上げは消費者への負担の転嫁?

 では、今回の住宅ローン金利の引き上げは消費者への負担の転嫁なのでしょうか。基本的に住宅ローンの金利は長期金利に連動して設定されています。3月の下旬から4月にかけて、長期金利は少し上昇していますから、今回の変更もこれに合わせたというスタンスです。政策的にはマイナス金利ということですが、長期金利は日々の国債取引で上下しますから、常に一方向に下落するとは限らないわけです。

 ただ銀行は、長期金利に対して完全に連動させる形で住宅ローン金利を動かしているわけでもありません。今年1月に0.2%台だった10年物国債の金利は、3月にはマイナス0.1%となり、4月に入ってマイナス0.06%と少し戻した状況です。しかし住宅ローン金利は、国債の金利の下落幅ほどは下がっていません。銀行はホンネとしては住宅ローン金利の下落傾向に歯止めをかけたいと思っていますが、なかなかそのチャンスがなく、今回の短期的な長期金利の上昇をきっかけに、各行が一斉に金利引き上げに動いたといったところでしょう。

 住宅ローンは100兆円以上の残高があり、この金利が0.1ポイント分、上昇しただけでも、理論上はマイナス金利による銀行の収益悪化をかなり緩和することができます(住宅ローンの平均的な返済期間は25年程度ですから、実際に効果が出てくるのは、新規貸付け分と変動金利分だけです)。マイナス金利が続いた場合、目に見えにくい形で利用者の負担が増えてくる可能性は否定できません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/12(火) 7:00
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