ここから本文です

米で広がる”時給15ドル運動” 日本はなぜストライキをやらなくなったのか

2016/4/13(水) 7:00配信

THE PAGE

 米カリフォルニア州で、最低賃金の時給15ドルへの引き上げが決まりました。ファストフード店従業員による、時給15ドルへの引き上げ運動が功を奏した形ですが、日本ではこうした動きは見られません。日本で時給15ドルをめざすことはできるのでしょうか。

「時給15ドル運動」が広がる米国

 米カリフォルニア州知事は4月4日、最低賃金(時給)を15ドル(約1620円)に引き上げる法案に署名しました。現在10ドルとなっている同州の最低賃金を段階的に15ドルまで引き上げます。

 連邦政府が規定する最低賃金は現在7.25ドル(約783円)ですが、大都市ではこれよりはるかに高い最低賃金が設定されており、最近ではシアトル、ニューヨークなどで次々15ドルの最低賃金が導入されました。最低賃金が上がっているのは、物価の上昇によって生活が苦しくなったという現実に加え、ストライキなど労働運動が活発だからです。

 数年前からファストフード店従業員による、いわゆる「時給15ドル運動」が活発化し、全米各地に広がっていきました。当初は、実現不可能な要求と言われていましたが、徐々に世間の関心も高まり、結果的に各都市が時給15ドルへの引き上げを決定するようになりました。

日本でストライキが行われなくなった理由とは?

 一方、日本ではこうした運動は一部を除いてあまり行われていません。昭和の時代には労働運動が活発でストライキなども頻発していましたが、最近ではほとんど見られなくなっています。

 日本で労働組合が機能しなくなったのは、日本の労働組合が特殊な構造となっており、職種別ではなく企業別に組織化されているからです(戦前は諸外国と同様、職種別の組合でしたが、戦時中の国家総動員体制によってこうした形態の労働組合は解体させられました)。企業別の組合の場合、企業全体で賃上げを要求するような場合にはうまくいきますが、同じ会社の中で正社員と非正規社員、高賃金の社員と低賃金の社員が同居しているようなケースでは、社員同士で利害対立が発生するため、全体的な運動には結びつかないのです。

 これに加えて日本ではそもそも賃金が上がりにくいという構造的な問題もあります。日本の法制度においては、原則として企業は社員を解雇することができません。企業が新しい事業に参入する場合には、従来の社員を抱えたまま、必要な人材をあらたに採用することになります。企業の総人件費は膨らむことになりますから、賃金には常に抑制圧力が働きます。

 こうした構造的な問題が解決されない限り、日本において高い賃金を実現するのは難しいと考えられます。労働市場を改革するためには、人材の流動化が不可欠となりますが、今の日本社会では許容されない可能性が高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/13(水) 7:00
THE PAGE