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セブン鈴木氏辞任の背景に世襲問題? 背後に“物言う株主”の警鐘も

2016/4/15(金) 7:00配信

THE PAGE

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者がグループの経営から退く意向を表明しました。直接の原因は、自らが提示した人事案が取締役会で否決されたことですが、背景には子息の世襲問題があるとの見方が一般的です。

 鈴木氏は、1963年にイトーヨーカ堂に入社。コンビニエンス・ストアという新しいビジネスモデルをゼロからつくり上げ、グループを国内有数の流通企業に育てた実績があります。しかし、鈴木氏は83歳と高齢で、慢性的な健康問題を抱えており、後継者の選定が急がれていました。

 ここでちょっとした騒動が発生します。物言う株主として知られ、セブンの大株主でもある米サード・ポイントが、同社に異例ともいうべき書簡を送ったからです。サード・ポイントは書簡を通じて現セブン-イレブン・ジャパン社長の井阪隆一氏を後継者の最有力候補にすべきと主張しました。これに加えて、鈴木氏に自身の子息を後継者に据えようとする動きが見られるとして、警鐘を鳴らしました。

 鈴木氏は、同社をここまで大きくした実績のある経営者ですが、同社の創業者ではありません。創業家の出身者であれば、経営の舵取りを誤った場合、自身に数十あるいは数百億円もの損失が発生します。これが情実人事に対する一定の抑制力となるわけです。

しかし、サラリーマン経営者の場合には、仮に経営に失敗しても自身には金銭的な被害が発生しないため、安易に情実人事を行ってしまいがちです。このため、創業者ではないサラリーマン経営者の子息が会社の経営を引き継ぐ行為については、市場から非常に厳しい目で見られることになります。サード・ポイントはこの点を憂慮したものと思われます(鈴木氏も一部株式を保有していますが、創業者によるものとは区別して考えるべきでしょう)。

 サード・ポイントの書簡を受け取った後、鈴木氏は7日、突如、取締役会に井坂氏を退任させる人事案を提示しますが、取締役会はこれを拒否。人事を混乱させた責任をとって鈴木氏が辞任するという事態になりました。井坂氏はセブンイレブンというグループ中核事業の責任者であり、十分な実績があったことを考えると、鈴木氏が突然、井坂氏に退任を迫ったのは少々不自然と言わざるを得ません。

 鈴木氏は、子息の世襲について否定していますが、井坂氏の退任を要求したのは事実ですから、少なくとも、サード・ポイント側が懸念していた事態の半分は本当だったということになります。

 ちなみに取締役会では、グループ創業家出身である伊藤雅俊氏が人事案に反対したことが否決の決め手になったともいわれています。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/15(金) 7:00
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