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資源暴落、大統領の会計粉飾疑惑で悪材料は出尽くした? ブラジル・レアル

2016/4/29(金) 7:00配信

THE PAGE

 レアルはブラジルの通貨です。ブラジルは、もともとはポルトガルの植民地であり、レアルという通貨は、ポルトガル統治時代から使われていました。しかし、現在流通しているブラジル・レアルは、当時のレアルとは異なります。ブラジルは戦後、何度もハイパーインフレを起こしており、そのたびに通貨のデノミネーションや切り替えを行っているからです。現在のレアルは1994年から流通が始まっています。

資源が豊富な国だが……

 ブラジルは経済が安定せず、インフレを繰り返していたのですが、その状況を大きく変えたのが、2000年代に進んだ原油価格の高騰でした。ブラジルは典型的な資源国ですから、資源価格高騰の恩恵を受けます。ブラジルは新興国の中でも優等生と呼ばれ、07年には実質国内総生産(GDP)の成長率が6%を超える実績を残しました。

 しかしリーマンショックによる新興国経済の低迷と原油価格の暴落を受け、ブラジル経済は一気に冷え込んでしまいます。15年の実質GDP成長率はマイナス3.8%となり、国際通貨基金(IMF)によると16年も同じくマイナス3.8%になる見通しです。この結果、ブラジル・レアルは00年代と比べて対ドルで半分の水準まで下落した状況にあります。

ブラジル経済の膿は出尽くしたか?

 さらに悪いことに、ブラジルのルセフ大統領に対しては、国家会計を粉飾した疑惑がかけられているほか、損失を穴埋めするために、年金や失業保険の給付を国営銀行に肩代わりさせたことが問題視されています。現在、国会で弾劾手続きが進められており、もし弾劾が実現すると、五輪というタイミングで大統領が失職するという、前代未聞の状況となる可能性があります。ルセフ大統領はブラジル初の女性大統領ですが、ポピュリズム的な政策で人気を維持してきたという面は否定できません。原油価格の暴落によって、こうした経済運営の負の部分が表面化してしまったわけです。

 ブラジルは高いインフレ率が続いていましたから、政策金利も高めに推移してきました。15年には14%を突破しています。高い金利を狙ってブラジルの通貨や債券に投資する個人投資家も少なくないですが、高い金利はインフレ・リスクとのトレードオフということになります。

 もっとも、ブラジルは人口2億人を抱える大国で、経済のポテンシャルは決して低くありません。ルセフ大統領が失職した場合には、経済は上向くとの見方もあり、市場は議会による弾劾手続きを好感しています。見方によっては、ブラジル経済は今が底なのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/29(金) 7:00
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