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地域活性化の効果に期待!? 企業版ふるさと納税とはどんな制度?

2016/5/6(金) 7:00配信

THE PAGE

 今年度から従来のふるさと納税制度に加えて、企業版のふるさと納税制度がスタートしました。家具大手二トリが、財政再建中の夕張市に対する支援を表明するなど成果が期待される一方、専門家などからは、税の公平性を歪ませる制度だとして厳しい意見も出ています。

専門家からは厳しい指摘も

 ふるさと納税は、任意の自治体に寄付をすると、その寄付金額の一部が所得税や現在住んでいる地域の住民税から控除されるという制度です。企業版ふるさと納税制度はこれを企業の法人税にも拡大しようというものです。地方創生に取り組む自治体の事業に寄付した企業は、法人税などが減額となります。すでに家具大手のニトリが、財政再建を進める夕張市に対して、総額5億円の寄付を表明するなど成果が上がっているようです。

 ただ、一連のふるさと納税制度に対しては、専門家などから厳しい指摘が出ているのも事実です。地域の行政サービスには、サービスを受ける人が税金を負担するという受益者負担の原則が存在していますが、ふるさと納税制度はこれを歪めてしまう可能性があります。

 例えば大阪府に住んでいる人が、東北のある地域にふるさと納税した場合、東北の自治体にはお金が入りますが、大阪府にはお金が入りません。しかし、ふるさと納税した人は、大阪に税金を払っていないにもかかわらず、税金を全額払った人と同じ行政サービスを受け続けることができます。こうした行為が行き過ぎれば、税収を奪われる自治体のサービス水準が低下したり、公平性が保てなくなるという弊害が発生することになるでしょう。経済学者の野口悠紀雄氏は、ふるさと納税制度について「地方自治制度を破壊するもの」だとして厳しく批判しています。

企業版は減税の対象にはならない

 最近では、ふるさと納税のお礼に地域の特産品を贈る自治体が増え、これが新しい問題を引き起こしています。お返し合戦がエスカレートし、納税額に近い金額に相当する品物を返すという本末転倒なケースも出てきました。政府は、企業版の制度で返礼競争が起きると公共事業の入札談合といった不正につながりかねないとして、返礼を禁止する方針を固めています。

 また企業版の場合、どこに寄付しても減税の対象になるというわけではなく、地域活性化の効果が高いと政府が認めた事業のみが対象となります。地方自治体とは本来、自らの意思で行政活動を行う存在ですから、減税対象となる自治体を政府が恣意的に決めるということに対しては異論が出てくる可能性があります。地域再生に貢献したいという気持ちは非常に大事ですが、この制度にはいろいろと問題がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/5/6(金) 7:00
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