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悩ましき日銀、金融政策「現状維持」で株価急落「追加緩和」にもリスク

2016/4/28(木) 18:52配信

THE PAGE

 日銀が28日に開いた金融政策決定会合において、現状の金融政策の維持が決まりました。2%の物価目標の達成時期についても「2017年度前半ごろ」から「2017年度中」に再び先送りしています。市場では追加緩和に踏み切るとの予想が多かったこともあり、日経平均株価は600円以上も急落。為替も一気に円高が進みました。

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物価目標の実現は難しいという認識に

 現在の日銀を悩ませているのは何と言っても物価上昇の鈍化です。日銀が物価目標の基準としている生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率については、2016年度は0.5%(前回は0.8%)に、2017年度は1.7%(前回は1.8%)にそれぞれ下方修正されました。物価目標の達成時期についても再び延期したことから、市場では当分の間、物価目標の実現は難しいという認識になりつつあります。

 これまで日銀は、物価上昇が予定通り進んでいない主な原因として原油価格の下落をあげていました。原油価格の下落は消費者物価を1%ほど下げており、これが全体の足を引っ張っているという図式です。日銀としては、原油価格は今後、緩やかに上昇すると見込んでおり、その場合には、物価へのマイナス影響は2017年頃に消滅するとしています。この認識は前回の会合と同様ですが、今回の会合では、これに加えて、足元の景気低迷や賃金上昇率の低下がマイナス要因になっているとの見解が示されました。その結果、原油価格の見通しが大きく変わっていないにもかかわらず、物価上昇の時期が延期されてしまったわけです。

悩ましいマイナス金利の効果見極め

 2015年10~12月期の実質GDP(国内総生産)は前期比で0.3%のマイナスでしたが、国内の消費低迷は続いており、2016年1~3月期のGDPについてもマイナス成長となる可能性が高まっています。こうした状況から企業は人件費の圧縮を進めており、これが賃金の抑制につながっています。

 本来、量的緩和策が実施されれば、個別企業の状況とは関係なく、一律に物価や賃金が上がっていくはずでしたが、現実にはそうなっていません。日銀としては、とりあえずマイナス金利の成果がはっきりするまで待ちたいところですが、これ以上、現状維持を続けた場合、日銀が手詰まり状態に陥っているという印象を市場に与えてしまう可能性があり非常に悩ましいところです。一方、追加緩和に拙速に踏み切ってしまうと、効果が十分でなかった場合のダメージが大きくなってしまいます。現状維持にもリスクがありますが、追加緩和にもリスクがあるわけです。

 一部の識者からは、日本の産業構造が時代に合わなくなっており、これが景気低迷の根本原因になっているとの指摘が以前から出ていました。こうした議論は量的緩和策の登場でほとんど顧みられなくなりましたが、今後も景気や物価の低迷が続くことになった場合には、再び焦点となる可能性もあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/4/28(木) 20:44
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