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実現すれば時価総額世界最大!? 国営企業サウジアラムコの上場目的とは?

2016/5/2(月) 13:00配信

THE PAGE

 サウジアラビア政府は25日、国営の石油会社サウジアラムコの株式を上場する計画を明らかにしました。もし上場が実現すれば、米アップルを抜いて時価総額で世界最大となることが予想されています。なぜサウジアラビアはこのタイミングでアラムコを上場させるのでしょうか。

サウジアラムコとはどん企業?

 サウジアラビアは王族が支配する君主制の国となっており、立法権を持つ議会も事実上存在しません。一般国民は政治的な権利を持ちませんが、原油の販売から得られる莫大な国家収入によって、消費税や所得税を免除されています。こうした政治運営の中核を担っているのがサウジアラムコという国営企業です。

 圧倒的な豊かさを享受してきたサウジアラビアですが、ここ数年で状況が大きく変わっています。同国は世界最大の原油産出国でしたが、シェールガスの開発が進んだことで、トップの座を米国に奪われてしまいました。
 
 さらに1バレル=100ドル以上もしていた原油価格が一時は30ドルまで急落したことで、政府の財政状況は一気に苦しくなっています。同国の財政収支は黒字が続いていましたが、2014年には赤字に転じ、16年には赤字額が10兆円に達する見込みです。昨年には公共料金の値上げが実施され、今後は消費税などの導入が検討されています。

上場の目的は?

 国策企業であるアラムコを上場させるのは、原油依存体質からの脱却を進めるためです。アラムコは、民間の石油会社では世界最大となる米エクソンモービルの10倍を超える莫大な埋蔵量を管理しています。上場後の時価総額は200~300兆円に達するといわれており、もし実現すれば、米アップルをはるかに上回る、世界最大の時価総額を持つ企業となります。

 同じタイミングで経済改革構想が発表されているのですが、それによるとアラムコの上場で得た資金は政府系ファンドに充当され、収益源を多様化するプランとなっています。グローバルな成長分野への投資を加速することで、原油への依存度を減らし、財政収支を改善させたい意向です。

 つまり、アラムコの上場というのは、虎の子である原油事業の一部を手放すことで資金を獲得し、投資立国を、めざすということを意味しているわけです。

 ただこうした戦略がうまくいくのかは現時点では何とも言えません。原油がいつか枯渇することは以前から分かっていたことであり、同国は原油依存からの脱却を試みてきたのですが、順調に進んでいるとは言い難い状況です。

 またサウジアラビアと米国は、かつては非常に緊密な関係にありましたが、オバマ政権は基本的に中東から距離を置く政策を採用しており、両国の関係は以前より疎遠になっています。これにともなって国際的な影響力も低下していますから、経済面でも政治面でも、今後はかなり難しい舵取りが要求されることになるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/5/2(月) 13:00
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