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国際通貨として期待大だが、まずは取引の自由化が課題 中国・人民元

2016/5/4(水) 9:00配信

THE PAGE

 人民元は中国の通貨で、同国の中央銀行にあたる中国人民銀行が発行しています。中国は社会主義国家であり、以前は資本主義的な経済運営を否定していました。したがって人民元は基本的に中国国内でしか流通しない、特殊な通貨という位置付けでした。

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管理変動相場制とは?

 こうした状況を大きく変えたのが、1990年代から本格化した改革開放路線です。中国は社会主義国家でありながら、資本主義的な市場が整備され、世界の工場として驚異的な経済成長を実現することになりました。これに伴って人民元も徐々に国際化が進むようになり、現在では外国為替市場の取引に使われる通貨となっています。

 もっとも人民元は完全に自由化されたわけではありません。中国政府は、人民元の為替相場を一定の範囲内でコントロールする「管理変動相場制」を導入しており、人民元の変動幅は人民銀行が毎日公表する基準値から上下2%以内に制限されています。また、どこでも人民元を調達できるような環境にはなっていませんから、国際的な通貨と呼ぶには不十分といってよいでしょう。

国際化、自由化の動きは着々と進行中

 中国は日本を追い抜き、世界第2位の経済大国となりました。中国は各国から大国として処遇して欲しいという意識を強く持っており、そのためには、人民元の国際化が必要であることもよく理解しています。昨年11月、国際通貨基金(IMF)は、特別引き出し権(SDR)に中国の人民元を採用することを正式に決定しました。IMFの決定は、中国に対してできるだけ早く人民元を国際化するよう促す意図があったと考えられます。

 同じ時期、中国の習近平国家主席は英国を訪問し、キャメロン首相と首脳会談を行っています。英中両国は、中国本土と香港以外では初めてとなる人民元建ての国債をロンドンで発行することについて合意しました。人民元国際化の動きは水面下で着々と進んでいるとみてよいでしょう。

自由化後は混乱も予想される

 ただ、実際に人民元が自由化された場合には、為替市場に多少の混乱が発生すると考える市場関係者も少なくありません。これまで中国は順調に経済成長を実現してきましたが、資源価格の下落などを背景に、経済の低迷がより深刻になっています。以前は、経済力の拡大に合わせて人民元は上昇していくというシナリオがメインでしたが、直近の状況ではむしろ自由化が進めば、大幅な通貨安になる可能性も否定できません。

 中国は景気を刺激するために、金利を引き下げたいところですが、都市部の不動産価格高騰を助長するリスクがあるほか、資金の国外流出にも警戒する必要があり、思い切って金利を下げられない状態にあります。このため、投資家の中には、中国とユーロなどの金利差に着目している人もいるようです。今のところ、為替の動きはある程度コントロールされていますが、自由化に向けて動いていることを考えると、安易な金利差狙いの投資はリスクが高いかもしれません。いずれにせよ、自由化が進んだとしても、健全な取引対象として安定するまでにはしばらく時間がかかりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/5/4(水) 9:00
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