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経済的理由で進学をあきらめなくていい、返済不要の給付型奨学金制度とは?

2016/5/5(木) 9:00配信

THE PAGE

 安倍首相が給付型奨学金の創設を表明しました。この制度があれば、進学の意思のある人は、経済的に苦しくても借金を背負わず大学教育を受けられることになります。

貸与型奨学金は、苦しい学生の支援になってない!?

 日本の奨学金の多くは、借りた資金を返済する必要がある貸与型と呼ばれる仕組みになっています。一部の大学や民間団体は返済の必要がない給付型奨学金を提供していますが、全体から見ればごくわずかでしょう。

 現在の日本において奨学金制度の中心的な役割を果たしているのは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)という組織です。JASSOは、日本育英会を中心に複数の奨学金運営団体が合併して2004年に設立されました。同機構では、毎年約140万人に奨学金を貸与しており(高校生含む)、貸与額は月額平均で約7万円となっています。

 JASSOの奨学金は、貸与ということになりますから、大学を卒業した後は、このお金を返済していかなければなりません。4年間大学に通うということになると300万円を超える金額になり、半数以上の奨学生はこれに利子が加わりますから、金額はさらに膨れあがります。中には卒業後の就職がうまくいかず、返済に苦慮して自己破産するケースもあるようです。

 貸与型という形態では、経済的に苦しい学生の支援になっていないとの指摘が多く聞かれるようになってきました。こうした状況を受け、安倍政権は返済の義務がない給付型奨学金について検討を行ってきましたが、今回、創設を表明する形になったわけです。

財源はどこから? 実現までのハードルは高い

 返済の義務がない奨学金制度については批判的な意見もありますが、日本をはじめとする先進国では、教育を受ける権利は憲法で保障されています。希望する人には、可能な限り教育の機会を提供するというのは、国としてめざすべき方向性と考えてよいでしょう。

 経済的な状況もこうした制度を必要としています。近年はグローバル化の進展で、国際的な分業が進んでおり、先進国の国民は、生活水準を維持するため、より付加価値の高い仕事に就くことが求められています。いわゆるエリート層と呼ばれる人でなくても、大学レベルの教育を受けることの重要性はさらに高まってくるはずです。

 今回の創設表明はあくまで方針であり、具体的な方策が固まっているわけではありません。安倍首相は財源について明言しておらず、実際に創設ということになると、どこに財源を求めるのかで議論になることは必至です。実現までに超えなければならないハードルは高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/5/5(木) 9:00
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