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トルコのクーデター失敗 政権が黒幕とみる「ギュレン派」とは?

2016/7/17(日) 12:15配信

THE PAGE

大統領はギュレン派を一掃する大義名分を得た

 失敗に終わったクーデターのキーパーソンとして名前が浮上したのが、アメリカ在住のトルコ人宗教指導者のフェトフッラー・ギュレン氏だ。1960年代にトルコで始まったヒズメット運動は、教育活動や貧困問題の解決に力を入れており、科学教育や宗教教育を政府の干渉なしに行える私立の教育機関がトルコの国内外にいくつも作られた。ヒズメットは「奉仕」を意味する言葉だが、ヒズメット運動はリーダーのギュレン氏の名前を取って、ギュレン運動やギュレン教団という名前でも呼ばれている。

 ヒズメット運動に対する見解はトルコ国内でも二分しており、イスラム復興運動ではないかという指摘から、トルコにおける政教分離の原則を脅かす存在と批判する声もある。また、トルコ国内外に多くの学校を持ち(その多くが高い学力レベルで知られている)、病院や銀行、保険会社まで立ち上げたヒズメット運動は、トルコの財界や政界でも一定の影響力を持つ組織だ。軍から財界まで、トルコ国内のエリート層にも支持者が多いとされ、批判派からは「世俗主義の否定を洗脳する団体」と厳しい言葉で評されている。

 ギュレン氏は現在、米ペンシルバニア州在住で、アメリカ国内でもチャータースクールの運営を行っている。エルドアン政権はクーデターを裏で操っていたのがギュレン氏だという見解を示し、すでにアメリカ政府に対してギュレン氏の身柄引き渡しを要求している。トルコで15年にわたってジャーナリストとして働き、現在は米ニュージャージー州で暮らすジェームズ・キュネイト・セングルさんが、トルコで現在も大きな影響力を持つギュレン氏について語る。

「もともとギュレンとエルドアンは同志ともいえる間柄で、一緒に社会活動を行っていた時期もあった。現在でもトルコ国内では影響力のある宗教指導者のギュレンは、世俗主義を守り続けるトルコ政府に嫌気がさし、エルドアンが大統領に選ばれる前にアメリカに移り住んだ。エルドアンが大統領に就任してからも、両者の関係は良好で、ギュレンも当初はエルドアンをサポートしていたが、エルドアン自身も関与した汚職疑惑が取りざたされると、それに憤慨したギュレンはエルドアンと距離を置くようになり、エルドアンもギュレンを煙たがるようになった。政府と軍には多くのギュレン派がおり、今回のクーデター失敗を機に、エルドアンは権力基盤を固めるうえで邪魔な存在であったギュレン派を一掃する大義名分を手にしたことになる」

 ギュレン氏の団体はクーデター発生当初から、関与を否定する声明を出していたが、16日にペンシルバニア州で記者会見した75歳のギュレン氏は、「クーデターはエルドアン陣営による自作自演の可能性がある」と発言している。「自作自演」を証明できるものは存在しないが、前述のセングルさんが指摘するように、エルドアン大統領が目の上のたんこぶのような存在であったギュレン派を一掃するチャンスを一夜にして手に入れたことは事実だ。

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最終更新:2018/10/3(水) 15:35
THE PAGE

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