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トルコのクーデター失敗 政権が黒幕とみる「ギュレン派」とは?

2016/7/17(日) 12:15配信

THE PAGE

NATOやEUとの関係に変化は生じるのか?

 トルコ人と日本人の両親を持ち、現在は商社に勤務して日本とトルコを行き来する男性は、トルコの経済成長やヨーロッパの軍事バランスがエルドアンの失脚で悪化する可能性を指摘する。

「今回の件については正直驚きました。トルコが国際的な成長を遂げることができたのは、エルドアンの手腕によるものだと思います。この数年はトルコ国内のミドルクラス、富裕層の人達からエルドアンの独裁はやりすぎだという声も多く耳にしていました。ただ、エルドアンに対する批判はロジカルというよりも、感情的なものが多いと私は解釈していたのですが……。クーデターが成功していた場合、トルコがただの軍事国家になってしまう可能性はあったと思います。トルコとアメリカの関係にも変化が生じたでしょうね。トルコはアメリカにとって中東の入り口的な存在であり、その立場をトルコ政府も大いに利用していた部分はありますから」

 NATO(北大西洋条約機構)の加盟国でもあるトルコでは過去にもクーデターが発生している。1980年に発生したクーデターでは民政移管されるまでの約3年の間に、治安維持の目的で60万人以上が逮捕され、政界関係者に対する暗殺も相次いだ。NATO加盟国では他にもギリシャやポルトガルで過去にクーデターが発生しているが、国の規模や地政学的な観点から考えると、トルコにおけるクーデターはNATO加盟国、とりわけアメリカにとっては頭の痛い問題だ。米軍による対ISIS攻撃の拠点として使われているのはトルコ国内の空軍基地であり、ロシアへのけん制としてもトルコのNATO加盟は大きな意味を持つ。

 また、2005年からEU加盟に関する交渉を開始してきたトルコだが、少数民族クルド人に対する人権侵害などが問題視され、EUへの加盟は実現できていない。トルコのユルドゥルム首相は16日、クーデターに関与した兵士らの処分について言及した際に、死刑制度の復活もありうることを示唆した。この発言によってトルコのEU加盟はさらに困難になったという指摘もあり、EUやNATOとの関係を維持するために、エルドアン政権が反乱兵士をどのように扱うのかは今後の争点だろう。内政と外交の両面で、今回のクーデターはトルコの今後を大きく左右する事件となった。

(ジャーナリスト・仲野博文)

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最終更新:10/3(水) 15:35
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