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AI小説や絵画などの著作権問題 考えられる課題と方向性

2016/7/30(土) 18:00配信

THE PAGE

AI創作物に関わる「3つの立場」

 中野弁護士は個人的な見解として、AI創作物の著作権を誰に付与すべきか提言しています。まず、AIは3段階のフェーズで関わっている人がいるとして、「技術開発者(Googleなどの企業 )」「機械学習(ディープラーニング)をさせる人(技術開発者やコンテンツメーカーなど)」「それを使ってコンテンツを作って広める人(小説家や出版社などのコンテンツメーカー)」 としています。開発者や機会学習をさせる人は使用許諾等で権利を行使し、それによって対価を得ることができるとして、「一番保護されなさそうなのがコンテンツを作る人」として、著作権を含めた知的財産権を付与すべきだとしました。

「やはり問題はコンテンツを作って広めた人ですよね、出版社や音楽家の保護をどうするのかが大事だと思っています。彼らは作って広めるという努力をしたことに多大な金を投資しています。そこに関して保護を与えるのは方向性のひとつとしてあるのではないでしょうか?」(中野弁護士)

 なお、4月の知的財産計画本部次世代知財システム検討委員会の報告書でも、「AI創作物を世に広めて一定の価値(ブランド価値など)を生じさせたこと」に対して、商標や不正競争防止法の商品等表示の保護のような仕組みの可能性を検討していました。

「著作者人格権」をどうするかなど課題山積

 さらに、AI創作物を著作権と認めた場合の課題も挙げました。「著作者人格権をどうするかという話もあります。AI創作物に、著作者のみに認められる(著作人格権の中の)『氏名表示権』『公表権』『同一性保持権』をどういった扱いにするか」と、法整備の難しさを語ります。

 具体的には、AIには人格がないので、創作物の引用や改変の許諾など、誰にもらえばよいかも考える必要があるのです。さらに、著作権は親告罪です。「親告罪」とは、犯罪事実を申告して処罰を求める意思表示(告訴)がなければ、公訴を提起することができない犯罪のことです。そして、告訴できるのは「犯罪で被害を受けた者」等に限定されます。つまり、AIでは告訴できません。現在、世界的に非親告罪化の流れとなっていますが、今のところまだ不透明な部分があるのです。

 AI創作物の著作権での保護。早急な整備が必要なことは分かりましたが、まだまだ難しい課題が山積みのようです。しかし、AI技術の発展や創作物の普及のためにもしっかりと検討して進めてほしいものです。

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■重野真(しげの・まこと) 地方紙在籍中には支局/社会部に所属し、事件事故や学術文化などの報道に携わる。現在はフリーランスの記者として、雑誌・ウェブサイトで硬派記事を執筆するほか、ネットニュースの編集も手掛けている

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最終更新:2018/10/3(水) 15:27
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